第615回:歳をとること
「最近、何か心が動くようなことあった?心の底から感動したり、楽しんだり、何かあった?」
会社の昼休み、目の前のデスクで40代のママさん達2人が話していた。10秒くらい、割と長い時間をかけてジックリ考えてから、
「ないなー、歳とってから年々そういうことが減ってきた気がする」
と、もう一人が答えた。
僕は、頭を全く使うことのないスマホゲームをしながら片耳でそんな会話を聞きながら、自分はどうだろうとボンヤリ考えた。言われてみると自分も歳を追うごとに心動かされることが少なくなってきたような気がした。柔道を全力でやっていた頃はやっぱり今よりも大きな感情の起伏があったけれど、それでも中学・高校・大学・社会人と年代が上に行けば行くほどそれは小さくなっていった。柔道を引退してからは、また違う意味で日々の中でプレッシャーを感じたり、達成感があったりはするけれど、涙するほど感動したり、嬉しかったり、逆に悔しかったり、悲しかったり、そういうことってほとんど無い。良くないな、と思った。いくら歳をとっても、心動く人生でありたい。きっと、そのためにはもっともっと努力して上を目指さないといけないんだろうなと思う。スポーツは”上”が単純明快で、それゆえに”努力”も目に見えやすい。社会人は、何を”上”とするかは人それぞれで、”努力”も数えきれない種類がある。自分は何になりたいのか、常に考えて努力しないとな。
下らないスマホゲームをしながら、オバちゃん二人の話を小耳にしながら、そんなことを考えた昼休み。