第616回:オールド・ルーキー①

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録画していたドラマ”オールド・ルーキー”を観た。ドラマの完成度として、いわゆる特別面白いというレベルではないと思うけれど、個人的に当事者感を感じる部分が多く、「うーん」と考えさせられるドラマだった。

綾野剛さん演じる元日本代表サッカー選手がいきなり引退を宣告されるところからドラマは始まる。まだ現役を諦めきれないままスポーツマネジメント会社に拾われ、社会人として徐々に成長していくような話だ。僕個人として感じたこのドラマの焦点は、スポーツしかしてこなかったアスリートがセカンドキャリアに苦戦するところ、スポーツマネジメントという業界(職業)が日本でまだまだ未熟でありこれからのスポーツの発展には重要になるのかもしれないというところ、の2点。

セカンドキャリアについては、どうしても色々と感じてしまう。引退を宣告され、どこのサッカークラブも拾ってくれず、サッカーに携わる仕事も見つからない中、「俺、サッカーしかしてこなかったから・・・」と新たな世界へ飛び込むことに躊躇し挫折しそうになる主人公の姿は少なからず共感があった。僕も引退する時は恐かった。すごく恐かった。今まで人生の大半を費やしてきて、そこそこチヤホヤされて生きてきたのに、その全てを捨ててまた1からスタートしないといけない。引退した後も柔道に何らか繋がっていることで生きていきたくなる気持ちも分かる。僕はまだまだ恵まれた方で、幼い頃から勉強もさせてもらって、スポーツ以外の世界で成功している方々ともたくさん接点を持って育ってこられた。それでも恐かったのだから、もっともっと人生をスポーツに捧げてきた人は、それを遥かに超える恐怖だと思う。

「だから日本のアスリートも現役時代にもっと勉強すべきだ」とか「スポーツ以外のことを経験させておくべきだ」とか偉そうな意見を並べる気はないけれど、僕も一人の当事者として、あるいはこれからそれを迎える後輩達に何を伝えるべきか、どういう環境を作っていくべきか(用意するべく努力すべきか)、考えていかないと、と思った。