第617回:オールド・ルーキー②

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ここに関連して、もう一つ考えさせられたのは”引退”についてだ。主人公は所属していたクラブチームの解散によって突然引退を突きつけられ、それでもまだまだ自分はやれると信じ、社会人になることに抵抗を覚えながらしばらく過ごす。結局、サッカーのクラブチームの試験に落ちたことで踏ん切りをつけるのだが、観ていて悲しかったし久しぶりに涙が出そうだった。自分はやれる、と思っている中での強制的な引退は残酷だ。僕の場合、どうやったって世界一にはなれないと気が付き、それでもしばらくの間現役を続けさせてもらった上での引退だったから、彼ほどではないにせよ、やっぱり悲しくて、その気持ちを久しぶりに思い出さされた。

スポーツマネジメントについては、率直に面白いなと思う。サッカーや野球で”エージェント”と呼ばれる人たちが選手のトレードや年俸の交渉などを代理で進めてくれるのがイメージしやすいけれど、ドラマではその他にもスポンサーを探したり、練習環境を整えたり、コンディショニングの手伝いまでするように描かれていた。実際の業界で、どこまでするのかは分からないけれど、徐々に日本でもこういう職業にスポットライトがあたってきて、これから大きくなるマーケットなんだろうなと思った。柔道は今でこそ実業団のかたち(選手が企業に社員として所属し、競技や試合を業務として給与をもらうかたち)が一般的だけど、そのうち単独で競技を続けるプロ選手が増えてくるかもしれない。柔道で金儲けするなんて、と古い考えがまだまだ根強い世界だけど、個人的には全然いいじゃないか、と思っている。道着のそこら中にスポンサーのワッペンを付けると、握りにくそうだけども、ね。