第630回:ツーブロック①

Pocket

人生を通じて、僕はあまり髪を伸ばしたことがなかった。もちろん柔道をしていたことが最も大きい理由なのだが、引退してからもあまり髪を伸ばしてこなかった。どれくらい短かったかというと、前髪がおでこに、側面の毛が耳に、襟足が首に触れたことがないくらい短かった。というより、それらに触れられるのが嫌だったから短くしていた。

それがここ4ヶ月くらい、今年の2月から6月くらいまで、僕は人生で初めて頑張って髪を伸ばしてみた。僕の毛はめちゃくちゃ多くて硬いから、ただ伸ばすとマリモみたいに膨らんでいってしまう。しかも全体的に左から右に向かって毛が伸びていくもんだから、少々歪なマリモになるのがオチだ。だから、この4ヶ月もこれまで通り1.5ヶ月くらいに一度は美容室に行って、量を減らして少し形を整えてもらったり、耳にかかる部分を切り落としてもらいながら、なんとか爆発しない程度に抑えつつ伸ばしてみた。髪を伸ばすというのが初めてだったから「短くはせずに、量を減らして」などと美容師さんに注文したのも初めてだった。美容室に行き慣れていない人あるあるかもしれないが、美容師さんに対してこれだけのために時間取っちゃってごめんねという気がした。一方で、なんとなく料金ももったいない気がした。

こうやって書くと、ヘアースタイルに対して、あたかも壮大な計画があったかのように見えるかもしれないが、特にそんなことはない。ただ漠然とした好奇心だ。自分が伸ばしたらどうなるんだろう?という。そんなんだから、とりあえずパーマかけてみたり、流行りのツーブロック(もう古いのかもしれないけど)にしてみたりしようかと、ぼんやりとしたイメージのままこの前美容室に行った。