第712回:仙台旅③
仙台にきて20年というそのオバちゃんと会話をしていると、こちらの人は“震災前か、震災後か”という区切り方をしていることに気が付く。「震災前は海外からもたくさんの人が遊びに来ていた」とか「震災後の国分町はしばらく寂れていた」とか。心の中で、風化してはいけない、忘れてはいけないと思い、決して風化したり忘れたりしていないつもりでも、自分の中であの出来事を大きな区切りとしては扱っていない。当然ながらこちらの人は、僕ら遠くに住む者とはレベルの違う、過酷で辛い経験をされたのだということを、そんな会話から感じた。
そのままオバちゃんに紹介してもらったスナックで1~2時間ほど飲んで、帰りにすき家で牛丼を食べてホテルに帰った。のんびりと風呂に入り、サウナに入り深夜1時頃にベッドに入った。やれやれ、これじゃぁやっていることが五反田にいる時と全く変わらないではないか。仙台の無駄使い。明日はもうちょっとらしいことしたいな、と思いながら寝た。
次の日土曜日は9時くらいに目が覚めた。11時にウェスティンホテルに集合だから少し時間がある。朝風呂して朝サウナして、髭を剃った。ダラシない顔から酒を呑んだ痕跡を消した。株主総会ぶりのスーツに袖を通し、しっかりダウンを着込んで会場に歩いて向かった。ウェスティンって、行くまで気が付かなかったが仙台トラストタワーにくっ付いている。仙台トラストタワーは当社グループ会社の支店が入っていて、3年前くらいに出張で2-3日通ったことがある。当時はコロナ禍、なんだか遠い昔のようで懐かしかった。