第729回:復帰戦もしくは引退試合③

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試合の日、9時半開会式に間に合えばいいというところで、8時半頃にみんなでホテルを出た。前日調子に乗って、ジンギスカン食べ放題でたらふく食べたお陰で、お腹は全く空いていなかったからホテルの朝食はスキップした。肉を食べまくったにも関わらず胃もたれには全くなっていなかった。さすがジンギスカン、ヘルシーな扱いをされているだけある。

会場の北海道立総合体育センター(北海きたえーる)は、綺麗で大きくて立派な施設だった。地下鉄の駅とも直結していて、簡単な食堂も着いていて、メインホールの体育館の他に、それこそ柔道場・剣道場・トレーニング場・スポーツ科学系の研究室・小さい体育館などなど、一通り揃っているようだった。そのメインホールに、畳を敷いて、審判や時計係の机などを並べて、大会会場が作られていた。いい会場だった。

久しく選手から遠ざかっていた僕は、開会式ってのも久しぶりすぎて、なんだか新鮮な気持ちだった。開会宣言〜とか、国歌斉唱〜とか、来賓挨拶〜とか、新鮮な気持ちで臨んだにも関わらず、後半には「やっぱり長い」と退屈になった。退屈がてら、どれくらい久しぶりなのかを改めてちゃんと考えてみた。僕は20183月末に引退した。その年の6月に人数合わせで、同じく実業団の団体戦に出場させてもらった。とすると、ちょうど7年ぶりの大会ってことだ。そんで、今回の大会に向けて3年ぶりに道着に袖を通し、3回ほど練習した。開会式で並んでる全選手の中で、一番準備してきていないかもしれない、と思った。

そんなことを考えていても終わらない長くて退屈な開会式改めてサラリーマンの気持ちで聞いていると、「あーこのスピーチ原稿は秘書にでも書かせたのかな」とか「司会台本は誰が作るだろ」とか、現役の時は特に気にもしなかった、裏方の裏方を想像してしまった。濃淡あるにしても、そしてそれにどれだけの意味があるのかは一旦無視するとしても、みんなそれぞれの仕事を一生懸命こなして、こういう大会が開催できているというのを、ちゃんと想像して(できて)、ちゃんと感謝の気持ちを持っておいた。

式の最後の選手宣誓は、高校時代の1個下の後輩がやっていた。去年、男子1部優勝チームのキャプテンらしい。「へー、あいつがキャプテンやってるんだー」なんて思った。

「宣誓、我々選手一同は、日頃の練習の成果を十分に発揮し・・・」とのこと。僕に関しては、成果を発揮するほど日頃の練習をしてきてないけどな・・・なんて意地悪なことを思って、一人でニヤニヤした。