第711回:仙台旅②
ワニ2匹くらいに噛みつかれ、辟易してしまった僕は、思ったよりもずっと早く、目的地に据えていた“友達にお勧めしてもらったお店”に行ってみることにした。国分町のうるさい通りから出た時には、やっと解放されたような、気が楽になった。そして一歩通りを外れれば、どこにでもある静かで落ち着いた普通の街。小さいエリアにそういうお店がギュっと詰まっていることを知った。
目的のお店に着いたのは良いんだけれど、これまた悲しくも超満員で入れなかった。人気なのだ。金曜の夜に無計画に乗り込めるほど甘くはなかった。こうなるといよいよ路頭に迷う。店がたくさんあるのは国分町なんだろうけど、またワニに揉まれるのは嫌だな、と。そこで、今、仙台に住んでいて数年前に何回か呑んだことのある友達に急いでLINEして、少し外れた感じの(メインストリートではない感じの)、一人でも行きやすいお店はないか聞いてみた。すると本人もたまに一人で行くらしい韓国料理のお店を紹介してくれた。釜山出身のオバちゃんが一人でやっている、趣のあるビルの1階に入っているお店。なるほど、確かに少し外れた感じで良い。ここは逆に他にお客さんが一人もいなくて、オバちゃんとサシで会話しながら、ビール飲んでチャプチェやらキムチやら韓国海苔やらナムルなんかをつまんだ。にしても、仙台まできて一人で、韓国のオバちゃんと話しながら韓国料理を食べているなんて、心の中で少し笑ってしまった。