第71回:僕の出来ること

未分類
Pocket

先日SFCのとある授業に、テレビ局に勤めている方がゲストとして話しに来てくれた。テーマは 「 東日本大震災、その時テレビ局は 」。そうそう聞ける話じゃない。授業自体も凄く興味深かった。授業の最後の質問コーナーで、震災から今まで、僕自身が現地のレポートを見ていて、一番疑問に思ったことを聞いてみた。「 取材スタッフとして現地に行った人間は、そこで救援活動をしたのか ?」 取材してる場合じゃないんじゃないの ? と思う場面が多々あったからだ。助けを必要とされた現場は山ほどあったに違いない。そこでもあくまで取材・撮影を優先しなくてはいけないのか ?

答えは NO だった。しなかった。正しい情報をいち早く全国に伝えなきゃいけない役割は僕が思っていた以上に重要な任務だったのだ。

しかしやっぱり報道として現地入りした人間に葛藤はあった、とゲストは教えてくれた。助けられる何かを見て見ぬふりをしなくてはならない場面はあった。でもその時、その一つを助けたら、その後全てを助けなきゃいけなくなる。自分の無力さを痛感しながらも、何も考えないようにしてひたすら自分の仕事に集中したと言う。

夏休みにボランティアとして東北に行くつもりだ。こう言うと不謹慎に聞こえるかもしれないけどやっぱり 「 見ておきたい 」。何が起こったのか、何が起きているのか、今、自分の目で 「 見ておかなきゃいけない 」 と思う。きっと僕も自分の無力さや、小ささを痛感させられるに違いない。でも何かしら僕にでもできることがあるはず。そのできることを全力でやる。いつも通りだ。後悔だけは残さないように、しっかり頑張っていきたい。

更新:2011-06-18
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳