第80回:やって良いこと、悪いこと
俺は、人に許容量以上のものを食べさせたり、食べさせられたりするのが大っ嫌いだ。と言うより、してはいけないことだと思っている。好き嫌いや、普通に出されたものを残す、なんてことを肯定するわけではない。しかし、ご飯を何杯お代りしろと人に強要したりノルマを設定したりするのは、人として、柔道家として、絶対間違っていると俺は思う。
残念ながらこれは体育会系部活はもちろん、子供のスポーツチームにさえ非常によく見られる光景だ。更に残念なことに柔道界に多い。どうしてだろう。単純にたくさん食べれば大きくなり、大きくなれば強くなるなんてことはほとんどない。技もスピードも関係無い、よっぽど、本当に、低レベルな戦いでない限り。
言わせてもらえば日本一になった東海大相模高校三年間にそんな強要は無かった。増量したい者は勝手に無理して食べ、減量する者は勝手に一人で我慢した。合同合宿や遠征などで他チームのそういう食事の強要を
「 いやー・・・・それで強くなるなら苦労しないんだけどな」
と冷めた目で見ていたものだ。いや、彼らだって本気でそれで強くなれると本気で信じているわけじゃない、と思いたい。とするとただの “ 圧 ”、言うなれば “ いじめ ”だ。( 減量が必要な人にまで強要するところや、吐いても食べさせたりする所もあったりする )。・・・ もっと悪い。
少し大きなことを言わせてもらうなら、世界には食べたくても食べられない人がたくさんいることはみんな知っている。増してや今年日本であんな災害があって、みんなで頑張ろうとしているこの時期に、スポーツを出来ること自体に感謝しなくてはいけないこの時期に、どうして必要以上に食べさせるなんてことが出来るのか。こんなんでは、いったい何のためにボランティアに行っているのか分からない。今一度、初心に戻って考え直すべきだと俺は思う。
2011/8/17
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳