第85回:色々な世界

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海外研修に行っていた他の部員がやっと帰ってきて、19日から慶應の練習が始まった。同時にNTCで今度はジュニア・カデ組の全日本合宿が始まった。だから午前中は慶應で練習して、午後は全日本で練習する自主二部練習をしている。今日は、「今回の合宿はみんな年下だから大丈夫」と甘い言葉で誘い、勇気ある慶應生を一人だけNTCに連れて行った。三時間の長い練習の後には食堂でオレンジジュースをたっぷり飲んで、豪華な風呂にゆっくり入って(サウナではテニスの綿織圭と一緒だった)、NTCの設備を満喫してきた。相方の慶應ボーイは、行きの車中では緊張で無口だったし、帰りは疲れて爆睡していた。ボコボコにされながらも、トップレベルの選手は基本的に優しいことが分かり、きっと貴重な体験になったでしょう。

昨日、大型の台風15号が関東地方を直撃した。日吉では、雨はそれほどでもなかったけど、とにかく風が凄くて、色んなものが街を飛び交い、塀が曲がったり木がへし折れたりしていた。しかし緊張感の無い我々柔道部はノンキに夕食に綱島の牛角に出掛けた。と、15分間くらいだったけど停電になり、当然電車も止まってしまった。そんなこんなで帰宅難民たちをそれぞれの家に送り届ける嵐のドライブと相成った。

その中の一つで港区にある国会議員宿舎に行った。ピカピカのレクサスやらベンツやらが並んでる中に、台風で葉っぱやらゴミやらを浴びたフィールダーを止めるのは緊張した(せめて初心者マークが取れてて良かった)。でも、議員の誰かしらを張り込む記者さんたちがいる正面玄関を、「別に撮ってもいいよ」と闊歩するのはいい気分だった。入口には悪い奴を引っ叩く用の長い棒を持った警察官がにらみを効かせながら立っている。どこもかしこもIDキーが無ければ入れない。ピカピカの床に音も無くあがるエレベーター。必要なものしか無くて少し殺風景で、俺らみたいなバカ騒ぎする人種もいないから静かすぎる。基本的に我々のいつもの格好、NTCなら普通の格好、MIZUNOのサンダルにTシャツ短パンで乗り込むにはあまりにもアウェイな世界。しかし日本のトップがいる場所というだけで不覚にもワクワクしてしまった。

NTCだって、議員宿舎だって、同じ税金で建てられた施設で、180度面白いほど方向は違うけど、それぞれ役割に応じて充実を極めている。将来、自分はどっちよりの世界に属するのかな〜(属したいものだな〜)なんて考えちゃったりもする。NTCに入り浸るような選手にもなりたいし、議員宿舎なみの所に住んでやりたいとも思う。色んな世界があって、色んな人間がいる。文武両道の道は続く。

更新:2011-09-24
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳