第164回:新歓
忙しかった3月を終え、4月最初のイベント・新歓が2日から5日まであった。慶應の新歓とは、全体育会、全サークルで、大量の新入生たちを、それこそ力ずくで奪い合う壮絶な戦いだ。近頃の若い世代 ( 何度も言うが、僕が言うのも何なんだけど ) は、何かと易きに流れていく。つまり毎日厳しい練習をする体育会より、キラキラと華やかなサークルに走る人間が圧倒的に多い。もともと部員の少ないほとんどの体育会は、毎年血眼で有望な人材を探しださなくてはならないのだ。
しかし柔道部には、今年度は幸せなことに入部内定者がすでにけっこういる。AO入試で3人、一般入試で1人、付属高校から5人の計9人だ。彼らを合わせた総部員数はなんと46人になる。全員集まると道場が狭い、なんて贅沢な文句が出るほどだ。だから今回、プレーヤーは自発的に来てくれるに任せて、僕達が狙ったのはマネージャー、トレーナーの人材。要するに女の子に声を掛けまくったのだ。結果はまだ出ていないが、数人入ってくれそうな人を囲い込み、最後の追い込みに入っている。こればっかりは僕みたいな厳つくて怖がられがちな人間は引っ込んでいた方が良い。柔道部にだっているイケメンな部員に頑張ってもらおう。
毎年この期間にいつも感じることがある。それはサークルに所属している人間、通称サーピー ( サークルピープル )について。彼らが新入生にかける言葉はだいたい決まっている。
「 練習と飲会が5対5くらい ! 男女比5対5くらい ! みんな良い人で楽しいよ !」
とかなんとかツラツラと。もちろん全てではないだろうし、僕らなんかより意識高く活動しているところもあるようだけど、どうやらサークルなるものの半分以上は、特に目標もなくみんなで遊んで楽しければ良い、という団体のようだ。活動自体が目的ではなく、活動を通して仲良くなるのが目的、みたいな。
僕はとても混乱する。それの何が楽しいのか、いったいどんな学生時代を人生を目指すのか、どうしても理解できないのだ。彼らからしてみればキツい練習の何が良いのか、僕らの方が理解出来ないのだろうけどね。
キツいからこそ楽しいのだ。つくづくこっち側にいて良かったと再認識する、これが僕の新歓期間。
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳