第163回:平和

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3月最後31日、広島で開かれた 『 平和カップ 』 なる大会に、慶應としても僕個人としても初めて参加した。体重規定なしの5人制団体戦で一般男子としての出場。周りにはお強い大学や実業団がゾロゾロ居並ぶ大会だった。結果は4チームリーグ予選で京葉ガスに負けて2位、トーナメントに上がることはできなかった。一流のチームと戦うことは僕にとってもチームにとっても良い経験になる。この負けを次に繋げていきたい。

トーナメントに進めなかった我々には、残念ながら帰路の新幹線まで数時間の空きがあった。そこで、チーム全員で原爆ドームを見学に行った。全日本合宿などで広島を訪れたことはあるが原爆ドームを見たことはなかった。中学受験時代から知識としては多くを知っている。が初めての実物。

日吉に帰ってきてからもう3日。あそこで感じたことを文章にしようと何度も頭の中で試みたが、どうしても適当な言葉が見つからない。感じたものが頭の中で散らばって繋がらず、手に負えないのだ。
例えば交通事故や病気なら僕たちはそこにある悲しさとか悔しさとかの感情をある程度イメージすることができるから、そこに何かを感じ、感じたことを言葉にすることもできると思う。しかしあそこで起こったことを、事実としての数字は知っているし資料や残った実物を見てより知ることもできたが、それでもその瞬間、それが引き起こした感情をイメージすることができないのだ。だから気持ちはザワザワと乱れるだけで自分が何を感じているのかよく分からなくて、言葉にすることもできない。

感想を書くことは出来ないけれど、間違いなく言えることは、誰もが一度はあの場所に足を運ぶべきだということ。日本人として、それ以前に人間として、全ての人が。僕もこれから、ゆっくりと時間を掛けて頭の中を整理した後、もう一度行ってみようと思う。

更新:2013-04-06
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳