第197回:隕石

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ある平日の昼下がり、練習に出るのに、首都高を横浜から都心方面へ車を走らせていた。ちょうどベイブリッジを渡り切ったあたりの立体交差で、突然バチッと大きな音を聞いた。一瞬何が起きたか分からなかったが、次の瞬間、異変に気付いた。運転者の視線からほんの少し右のあたり、フロントガラスに直径1センチ余りのヒビが。隕石が落ちた地面のように中心が深くえぐられていて、その周りをクモの巣のようなヒビが何重にも走っていた。
いわゆる飛び石ってやつだ。立体交差だったから、上から降って来たのか、前の車が弾いたのか、100キロ近くのスピードでビュンビュン走る車達の中から犯人を特定することなど不可能だし、特定したところでその車に責任があるわけでもない。この不運としか言いようのない理不尽な出来事に、ただただ驚き困惑し、今日はこのままUターンして練習は休もうかな、と考えるほど落ち込んだ僕だった。( ちゃんと練習は行きました )

今回はヒビが小さく、幸い修理で対処することが出来た。トヨタに電話で指示されたようにセロテープの応急処置で練習休日まで3日ほどしのいだ後、ひびの空気を抜いてそこに樹脂を流し込んで固めるという処理をしてもらった。短い時間で驚くほどきれいになった。もう少し大きい亀裂ができてフロントガラス丸ごと交換しなくてはならないようだと、値段的に10倍になる。もっと大きい物体がぶつかっていたら、ガラスを貫通して僕自身が壊されていたかもしれない。そう考えると、まぁ許せそうな気がしてくる。

しかしこの不運のツケは、神様にいつかしっかり払ってもらうつもりだ。

更新:2013-12-10
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳