第219回:下剋上
たぶんどんな組織でも言えることだと思うが、自分がそれに属している時には気が付けなかった、あるいは気が付いても解決法が見つからなかったことが、離れると見えてくることがある。引退なり卒業なりで身を引いてみると、驚くほど簡単に見えてくることが。「何であの時はあんなに難しく考えていたんだろう、答えはすぐそこにあったのに」みたいなことが・・・。
先週の日曜日25日、日本武道館へ東京学生団体を観に行った。同期に誘われて昼頃からノコノコと参上した。去年僕たちが主務のクジ運に頭を掻きながらベスト8を目標に掲げて臨み、国士舘大学相手に1―4と順当に負けてベスト16に収まった大会だ。今年は組み合わせも悪くなくて、ベスト8はいけるんじゃないの?という前評判であった。しかし結果は残念ながらベスト16。ベスト8戦では勢いに乗り切れず、いつの間にか相手にポイントを積み重ねられたといった印象。
僕は卒業して初めて慶應の試合を見たわけだが、現役時代とは少し違った感覚を覚えた。慶應チームからは、「勝てたらいいな、ベスト8までいけたらいいな」という軽い空気が感じら、逆に相手チームからは、「慶應には負けられない」といった意地と言うかプライドと言うか、強い気持ちがビシビシと伝わってきた。自分が出ている時には見えなかった、「勝ちたい」気持ちの差だ。今まで何度も言ってきたが、挑戦者の気持ちで噛みついていくことは凄く大事だ。だけど、それはあくまで準備段階で甘えないため、本番でスキを見せないための心構えであって弱気で臨むのとは全然違う。
たぶんこ「勝ちたい」という強い気持ちというか渇望の感覚というかが、慶應があと一歩前に進むために必要なものなんだと思う。そろそろ自分達のチームにプライドと自信を持って、それに見合う準備・努力をして、競り合った時に意地を出せるようになっていいんじゃないかな。この「見合う準備・努力」のところが難しいのは重々承知、まぁ最終的には精神的な部分だからなかなか厳しいだろうな~、と一人ボンヤリ考えた。
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳