第278回:競技格差(1)

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 始めに断わっておくが、今回と次回の記事は“文句”ではない。取り止めのない単なる“考察”である。

 世界陸上、世界バレー、そして世界柔道、この8月第4週は世界大会が目白押しだ。(もしこの他の競技も何かしら大きな大会をやっていたらごめんなさい、僕は知らない。)こういう状況では、各競技に対する世間の扱いの差が嫌でも目についてくる。そして皆さんお察しの通り、我々柔道競技の扱いはこの3つの中では一番下である。
 “世間の扱い”と極抽象的な言葉でまとめたけれど、僕が気になるのは主にTV放送の仕方で、具体的には「リアルタイムで試合全体を放送しない(深夜に編集されたもののみ放送)」と「ニュースでの結果報道の際、他の2競技に比べてあまりにも尺が短い」ことである。新聞その他メディアに関しては、どんなバランスで報じているかを知らないのでハッキリ言えない。けれど、たぶん同じようなものだろう。

<柔道>日本人の試合であっても特に興味がない
<バレー>日本人の試合なら応援しようかな
<陸上>特別どちらかを応援している訳ではないけれどボルト対ガトリンは観ようかな
多分これが普通の人の感覚なのではないだろうか。
何でそうなっちゃうんだろう ?

 上にTV放送のことを書いたが、これに関しては、他の競技に比べて視聴率が取れないことが理由なのは明白なので、この“何で”はTV機関等に向けたものではない。“何で”みんなは柔道を見てくれないのか = 視聴率が取れないのか ? ということである。

 考えられる理由の一つは、みんなルールが分からない、ってことだ。ルールが分からないから面白くない。面白くないから観ないのだ。早く走った方が勝ち、高く飛んだ方が勝ち、陣地内にボールが落ちたら失点・・・いくつかの条件や例外はあるけれど、陸上にしてもバレーにしてもルールの基本は至極明快である。柔道にはこれがない。敢えて言うなら 「 背中を畳に叩きつけたら・・・ 」 だけど、例外が多すぎてこれを基本ルールとはとても言えないのである。

・・・・つづく

更新:2015-08-27
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳