第35回:危ない、危ない

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 やってやったぜ !! とは決して言えない。むしろ、やっちまったぜ !! でも本当に良かったぜ。
 僕、何とか世界ジュニアに行けるみたい。モロッコ行っちゃうよ。

 19日、上尾の埼玉県武道館で全日本ジュニアオリンピック 兼 世界ジュニアオリンピック代表最終選考会があった。成績は3位。要するに、結果的に代表にはなったものの相当危なかったってこと。
 1回戦はキレイに投げて心も体も温まって迎えた2回戦。押せ押せだった。相手はずっと下がってて、指導2まで取って、よし ! ここで一本取っちゃろ、という場面 ( のつもりだった )。正直どうやって入られたのか思い出せないくらい完璧な小外刈りで吹っ飛ばされてしまった。否定のしようがないほどキレイな一本だったと思う。その瞬間、今度こそ本当に全部終わった、と思った。悔しいなんて思えないほど絶望。

 世界ジュニアには、モロッコにはもう行けない、講道館杯も危うい。今までの努力や苦労が全て崩れるような、自分そのものを否定されるような感覚。まわりじゅうの人に、「 世界に行きたいっす 」 って言ってきたし自分もそのつもりで頑張ってきたのに。失敗もあったけど、ドイツでは結果出したし、良い感じできてたのに。何より、支えてくれた家族、先生方、さんざん投げ込みとか受けてもらったチームメイトや、学校を超えて応援してくれた東海大のみんなに何て言えばいいんだよ。柔道諦めて勉強するか。あ~昨日の大学のテスト受けてくれば良かった。などなど、一瞬にして色~んなことを考えた。心の底からやり直したいと思ったりした。

 敗者復活戦にまわり、「 あとは何とか3位になって講道館杯には出られるように頑張んなくちゃ 」 と思うんだけどやっぱり気持ちの切り替えって難しい。敗者復活戦はかなりてこずった。何より「 勝っても世界には行けない 」 って思うことが一番キツかった。体のキレが戻らないまま、とにかく前に出て、足蹴っ飛ばして指導を取って、返し狙ってなんとか一本。次も、がむしゃらに前へ出て指導3取って相手に後がなくなって、体落しで何とか一本。そんな柔道をして何とか3位に上り詰めた。( 命掛けの敗者復活、この2ヶ月余でもう3回目だよ )

 上尾から日吉に帰る車の中で、慶應の師範と相模の監督から、代表に選ばれたと電話を貰った。それから何人もの先生から叱咤と激励の電話を貰い、何人もの先生に報告と感謝の電話をした。こんな “ やらかし ” 藤井に何度も何度もチャンスをくれて、本当にありがたい。
せっかくなら、「 日本には藤井しかいない 」 で出たかったけど、まあ仕方ない、「 日本には藤井もいる 」 で頑張って世界一になってやるとしよう。

慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳