第36回:合宿から、奇跡の生還

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 「 お前たちが海外の試合に出たり、こうやって非常に良い環境で強化合宿ができたりしているのは、国がお金を出して手伝ってくれてるからなんだよ。税金を使ってチャンスをもらってるんだよ。だからお前たちは世界で一番強くなって、国民に勇気と希望を与える義務と責任があるんだよ 」
23日から28日まで味の素ナショナルトレーニングセンター ( NTC ) で世界ジュニアに向けての全日本合宿があり、ヘッドコーチが最初のミーティングで話した。
「 なるほど、確かにそういう見方もあるね 」今更ながら少し考えた。俺らは一人で戦っていないのと同時に、自分一人のために戦っているのでもないってことかな。それってすごい重圧であると同時に、大きな心の拠り所にもなる。( 久しぶりにカッコつけたり )
今回は大学がちょうど後期学科の履修申告の時期で、試験やレポートがいくつもあり、練習の合間に2度ほど学校へ行って ( 巣鴨←→湘南台 とんぼ返り ) 試験を受けた。めちゃめちゃハードだったけど、なんとか生還。「 代表になったからにはもう、やるっきゃないっしょ 」 って、ベロンベロンになるまで追い込んだ合宿だったとさ。

 NTCでは、柔道だけじゃなくて色んなスポーツの、あらゆる年齢層の、JAPANを背負った競技者たちが常に合宿している。今回見た有名どころは、「 オグシオ 」 のシオタ選手とか、バレーボールの栗原選手とか。そこらへんを走り回ってる小学生のチビガキたちでさえ、絡んでみると、「 こう見えても俺、全国5連覇してっかんね 」 とか言う。(「 何だと、俺たちだって三冠二連覇してっかんね 」 とは言い返さなかった。我々も大人になったのさ。) 廊下や食堂にはオリンピック入賞者の写真が貼られまくってる。そんな中で過ごしてると嫌でも意識高くなっちゃいます。
んでもって、設備は十分すぎるほど充実している。道場はゆったり6試合場。ビデオカメラが一つの試合場につき一つ天井に付いていて、正面には中継用のでかいテレビ画面がついている。洗濯機・乾燥機は各階に15個ずつくらいあるし、風呂は広くてテレビのあるサウナもある。食堂はキレイで食事は美味くて食べ飲み放題。流石に体に悪そうな清涼飲料はない。で、そこらへんに立ってる栄養士さんに色々教えてもらえる。
面白いのは・・・食堂のメニュー名は、「 勝ち飯 」。風呂の名前は、「 勝ちの湯 」。
「 もう分かったよ。勝てばいいんでしょ。 」ってか。

「 国民のみんなに勇気と希望を与えるため 」 に、今日も頑張っている岳クンでした。

慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳