第37回:メゲメゲ

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 「 藤井岳 ( タンジン・ユエ )?」
先生がこっちを見て、何でお前がここにいるんだという顔をする。『 中国語ベーシック2 』( インテンシブの半分の授業数でかなり楽ちん ) の最初の授業。そう、僕は今期、インテンシブ2に進むことができなかった。
 SFCのシステムで、中国語インテンシブ2・3に進むためには、「 科挙 」 つまり試験に合格しなくてはならない。もちろん僕だって、インテンシブ1は楽しかったし、中間テストこそ韓国ジュニアで受けられなかったもののそれなりに優秀だった (?) から、科挙を受けて次に進もうと目論んでいた訳ですよ。ところがその科挙の日程が全日本ジュニアとカブってたんだもん。そりゃ諦めるしかなかったわけです。
 そういう、二つやりたいのに、どうしようもない壁にぶつかったりすると、やっぱりメゲる。頑張ってんのに諦めなきゃいけないってのはキツい。文武両道とか以前にシステムに阻まれる感じ。
 まあ、メゲるといっても、今までの挫折に比べれば、とカッコ付けてすぐ立ち直るんだけど。そんなこんなで今僕は、来期 『中国語インテンシブ3』 に舞い戻るため『中国語ベーシック2』 クラスで暴れている、というお話でした。

「 時はどんどん過ぎ去っていく。過去が増えて未来が少なくなっていく。可能性が減って、悔恨が増えていく。」
 昨日、村上春樹氏の 『 ダンス・ダンス・ダンス 』 を読み終えた。これがなかなか上手くいかない話なんだ。みんな消耗しながら、失いながら必死で生きている。たまに誰か死ぬ。この登場人物たちは、時を経るにつれて 「 可能性を減らして 」 いく。
 でも俺たちは違う。未来の可能性のために今、努力している訳だし、その時その時を全力で頑張っていれば悔恨は増えない、たぶん。

メゲたり、ふてくされたり、春樹さんに逆らってみたり、今週も忙しかったとさ。

慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳