第43回:正直な話

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 「 僕が今頑張れるのは、僕より頑張っている人 ( 奥さん ) を知っているから 」。TVのCMでアテネ・北京五輪柔道66㎏級金メダリストの内柴選手が言っていた。そういうのって大事だな、って思う。斎藤和義もある歌の歌詞に、「 自分の仕事が一番ツラいと思う奴にはならない 」 と書いている。僕は色んなことが上手くいかない時、そんなことを考えて頑張る。試合や合宿が込んで思うように授業に出られないことがキツいし、試合に負けることも辛い。でもこうして頑張れることは実は凄く幸せなこと。俺も少しは大人になって、そんなことを考えたりする今日この頃。

 14日に早稲田大学の道場で柔道早慶戦があった。結果から言えば、16人制点取り戦で8対6で慶應の勝ち。我が慶應は10人終わった時点で7勝だったが、後半早稲田が追い上げて結局15人目で勝ちが決まり。なかなかの接戦だった。正直な話この大会、僕はそれほどやる気満々で臨んだわけではなかった。「 早慶戦には何か特別なものがある 」 と先輩たちに言われても、ちょっくら軽~く考えていた。ごめんなさい、正直な話。

 でも試合が終わってみて思うことは、「 なるほど、何かある 」。そりゃ押しつぶされそうなプレッシャーや痛いほどの注目はない、勝ったからと言って東海大の友達に自慢できる訳でもない。でも何というか、慶應のみんなで、目的意識が違い過ぎてバラバラになったりしながらも、それぞれがそれぞれの思いで頑張って、みんなで何かを掴んだって感じが気持ち良い。両校ともずっと上の年代の先輩方も大勢応援にみえて観戦スペースも満杯。少人数ながら学ランの応援団が登場してエール交換があり、それぞれの校歌が歌われ、確かに独特の雰囲気がある。ちょっと照れ臭くも伝統ってものを感じてみたり、「 僕、慶應に入っちゃったんだな 」 って改めて実感したり。楽しかった。まあこんなことを言えるのも勝ったからなんだけどね。来年は慶應道場で抜き戦。「 来年も頑張ろう 」ってそう思えた慶早戦だった。

慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳