第60回:今、僕が出来ること

未分類
Pocket

 13日の全日本選手権東京予選の後、地震の影響や電力不足などが明らかになる中数日間実家に滞在して、17日あたりに日吉に帰ってきた。
 この状況の中、みんなが口をそろえて言うように ( あんまりみんなが言うからちょっと言い古されちゃった感があるけど )「 自分の出来ることを精いっぱいやるしかない 」。節電とかそういうことは当然として、自分のできることって何だろう。近々甲子園やプロ野球が始まってサッカーの慈善試合も行われ、選手は 「 一生懸命プレイすることでみんなに元気と勇気を与えたい 」 って言う。 今んとこ俺は柔道でみんなに元気や勇気を与えるところまではできないし、何でそうなるのかはよく分からないけど、俺に今出来ることはやっぱり全力で柔道をすることだけなんだって思う。
 ( 余談だけど、13日に俺らが戦った東京武道館も神奈川県武道館も避難所として使われることになった。現地の避難所となった学校では柔道場の畳が大層役立っているらしい。ちょっと嬉しい。 )

 そんなこんなでここ一週間、朝飛道場を使わせてもらって練習をしている。予想以上にキツい練習で充実している。道場は相模高校や慶応大学より狭いし、練習の面子もいつもと変わらない中、何がそんなにキツいって、綱登りやら運艇やらがとにかく大変なのだ。慶應って小柄なチームで、ほとんどが軽量級。でもメニューはみんな一緒。単純に考えて他のみんなより1.5~2倍の体重を持ち上げたり、運んだりするんだからそりゃ大変だ。大量のエネルギーを要する。22日現在、もう手はボロボロで血も出るし、全身あちこち筋肉痛になってしまった。

 地震の影響で東海大学柔道部が解散になっている。きっとみんな練習場所に困ってるだろうと余計なお世話(?)で、相模高校での元同級生を俺ら慶應の練習に呼んた。やっぱり相模でのチームメイトはどんな時も仲間でライバルだ。卒業してもう一年経つとか、今となっては学校も違って敵だとか、そういう感覚はない。家族のようなもん。練習の場にお互いが一人でもいることで、自分も負けてられない、というか、情けないカッコは見せられない、という気持ちにさせてくれる。高校時代と変わらない。

 毎日毎日報道される悲惨な被災地の様子や、徐々に分かってくる想像を遥かに超えていた地震や津波の実態には、ただ息を呑むばかり。相模高校や慶応大学柔道部に被災地出身の先輩後輩が何人もいる。辛いと思う。直接的には何もできてない僕だけど、一人でも多くの方の無事と一日でも早い被災地の復興を願っています。

2011/3/22

慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳