第122回:ケベックデー

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 こんにちは。とうとうケベックを去る時期になってしまいました。カナダで10ヶ月間過ごしていたことになります。まだ日本に帰るという実感がわきません。荷造り始めなきゃ……と思いつつも、ケベックの映画を見たり、散歩したりと先延ばししまくりです。
 さて、今回はSt-Jean Baptist Dayについて紹介したいと思います。この日は別名「ケベックデー」として知られていて、ケベック州中の人達がケベコワであることを誇り、祝う日です。ケベック州の首都であるケベックでは毎年200万人もの人が訪れる祭りが、アブラハム平原という場所でおこなわれます。

晴れている日のアブラハム平原

 しかし、この祭り、実は社会問題にもなっているのです。というのは、以前は家族向けの行事だったようですが、今は若者が羽目を外す日になってしまっているんです。その羽目を外す度合いがまた半端じゃない。数年前には死者が出ているほどで、車が炎上したりお酒を飲み過ぎて自分のことがコントロールできない若者で道が溢れるので、危ないとのこと。学校側からもホストマザーからも、あまり行くのはおすすめしない、と言われました。ただ今年からお酒の持ち込みが禁止になり、早い時刻なら問題ないと聞き、せっかくなので行くことにしました。
 「でも赤い服は禁止。英語も禁止。サンダルも禁止。トラブル避けたいなら、これは守った方がいい。」とアドバイスを受けました。赤い服はケベックが独立したいと願っているカナダの国旗の色。英語も然り。そしてサンダルは、割れた瓶などを踏まないように、だそうです。そんな脅されたら、怖くて行きにくくなるわ。結局ケベックの州旗の青と白の飾りをまとって、ケベコワに扮しながら平原へ向かいました。もちろん、足下はスニーカーです。平原ではケベックで人気のバンドが生演奏するのですが、観客はのりのりで踊りながら聞いています。以前も書きましたが、ケベックは独自の文化を持っているので観客は皆ケベックの曲ばかりで嬉しそうでした。

ライブ会場でケベック州旗を持って祝う人々

 でも、さすがに雨の中の野外ライブは寒かった。早々に切り上げて帰宅しました。後日学校の先生から今年はアルコール禁止と雨の影響で10万人しか訪れなかったとのこと。どうりで、なんとなく人が少なかったわけだ。
 ケベックデーの一週間後はカナダデー(カナダの建国記念日)ですが、こちらは特に祝う様子はなさそうです。なんだか、思いっきりケベックとカナダの政治情勢を表していますよね。3日後には日本です。日本食いっぱい食べよう、と今から楽しみです。

更新:2011-07-02
早稲田大学 国際教養学部(SILS) 小林 綾