第137回:多様化する就活

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 こんにちは。突然寒くなりましたね。朝夕の寒さに備えて、常に羽織ものをもって出かけるといいかもしれません。

 さて今回は私が現在している就職活動で感じていることについてです。先日、国際教養学部の建物内にあるラウンジで友人と話していたところに3人の社会人と大学生らしき人達が現れました。

 「もしかして今就職活動中ですか?」

 ちょうど就活の話をしていたのでうなずくと、web上でできるインターンシップに興味があるか訊ねられました。どこかへ行く必要性がなく、好きな時間にできるweb上のみのインターンシップという話は正直魅力的です。大学の授業を休まずに自分の興味のある会社を知ることができるのですから、こんないい話はありません。さらにその人いわく

 「いい結果を出せば、企業があなたを認知してくれます。それはもしかしたら内定の取りやすさにつながるかもしれないし、少なくとも12月以前に企業に自分の存在を売り込めることになる」そうです。

 その時にふと思いました。就職活動開始時期は昨年まで10月だったのを今年から12月にすると決まりましたが、インターンシップ自体は夏に始まっていますし、秋にもインターンシップが盛んにおこなわれています。学生が学業に打ち込めるように、そして就活の尚早化に歯止めをかけるためにも12月と定めたけれど、実際の学生の活動内容としては去年とさほど変わってはいない。
 さらに言えば、秋にも時間があるから業界研究にエントリーシートの書き方、面接の仕方を練習しておきましょう、と驚くほど多様なイベントが各地で開催されています。これでは、学生は企業の情報収集以前に、イベントの収集と情報整理ばかりに時間を割いてしまいます。業界研究や企業研究も企業の説明会やOB訪問、HPといった従来の方法以外に、オンライン上で社会人を招いて放送される番組や1dayインターンといった様々な方法が生み出されています。多様化のメリットとして、オンラインなら場所や時間を問わず自分の好きな時に使用できる、交通費がかからない、時間の融通が利く、そして地方の学生は東京や大阪などの大都市に出る必要がないことが挙げられます。しかし私としてはあまりにも就活の内容が多様化し過ぎて困惑しているというのが実情です。

 バリー・シュワルツという心理学者は選択肢が増えることによって自由度が増し、私たちの幸福度が高まっているように思えるが、実際には逆のことが起きていると訴えています。過剰な選択肢は選ぶ者に無力感を与え、自己否定や「もしもあっちを選んでいたら……」という幻想を抱かせ後悔しやすくする。多くの選択肢から一つ選ぶということは、他の選択肢を選ばないことと同義です。私もこの多様化している就職活動のイベントと情報の中からどれかを選び、どれかを捨てなければいけません。過剰な多様化は非効率的であり、また不満や不安を増幅させるという副作用があります。毎年変わる就職活動の様に翻弄されますが、自分の情報収集力と取捨選択していく強さを身につけないといけませんね。

 では、また来週。

更新:2011-10-08
早稲田大学 国際教養学部(SILS) 小林 綾