第143回:旬のもの、食べてますか

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 こんにちは。最近はさらに冷えてきましたね。こんな寒い季節には授業が終わるやいなや、そそくさと帰宅し鍋をするに限ります。鍋はいいですね。作るのが楽で、野菜が多くとれて、一人でも友人とでも楽しめる。お歳暮でも鍋のセットが流行っているそうで、きりたんぽ鍋のセットなどが好評のようです。

 そんな季節ごとの食の楽しみを記したエッセイが池波正太郎の『江戸の味を食べたくなって』。第一章には月ごとの旬の食べ物と池波さんの好きな食べ方が書いてあります。11月のページを繰ってみると題は「葡萄と柿」とあります。そういえば柿の木に橙色の身がたわわになっていたのを思い出し、柿の旬は11月なのかと思い当たりました。私自身は柿は好きではないのですが(高校時代の友人に「偏食クイーン」という称号をもらったほどに偏食家なのです)、葡萄は好きです。池波正太郎が勧める葡萄の食し方は一粒一粒もいで食べるのではなく、葡萄を高く持ち上げ口を大きく開いて上を向き、葡萄を下から食べるという豪快なものです。一気に食べるので口に広がる葡萄の香りと甘みが違うと言われると、そんな食べ方が可能だったのは無農薬が当たり前の時代だったからと悔しさから反論の1つもしたくなります。

 池波さんのエッセイを読んでいると、何よりも驚くのは様々な食材の旬をよく知り毎年楽しみにしながら過ごしていることです。冬なら湯豆腐に柚子。夏はトマトにきゅうり。昔の人の方が今よりも季節ごとの楽しみというものを味わっていた気がするのですが、私が旬のものを食べていないだけかもしれません。でもやはり旬のものが安いと言っても、柚子も昔は近所にあったものだったのに今はスーパーで買うものです。悲しいかな、祖母の家で庭になっている柚子を気軽にお風呂にぽんぽんといれていた小学生時代とはやはり違いますね。それでも、おいしいものがたくさん実る季節である秋。旬のものを意識して食べていこうかなと思いました。

更新:2011-11-12
早稲田大学 国際教養学部(SILS) 小林 綾