第144回:探検家の話

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 こんにちは。ぐっと冷え込んで本格的に冬がやってきましたね。本屋へふらりと立ち寄った際に児童書のコーナーをのぞいてみたのですが、ロビンソンクルーソーや宝島が平積みになっていました。小さい頃に読んでわくわくして、探検してみたい!冒険してみたい!と思っていたことを懐かしく思いました。誰にでも多かれ少なかれ、冒険という言葉に胸がはずみわくわくしたことがあるのではないかと思います。でも、そういったわくわくを大人になって実際に体験しよう、と思う人が世の中にどれくらいいるのでしょう。そしてさらにそれを生業とする「探検家」は……?

 先日、早稲田出身の探検家兼ノンフィクション作家の方の話を聞く機会があり足を運んできました。カナダのイヌイットたちが住むイカルイットから凍った海の上を60日間歩いて陸地にたどりついた探検をスライドでたくさんの写真を見ながら話してくださいました。60日間北極圏を歩くなんて、現実に挑戦する人がいるんですね。衝撃的でした。-40度まで冷えこむ場所で当然その探検家ともう一人の同行者以外に人影はなく、いるのは狼、ホッキョクグマなどの動物のみ。乱氷帯ではぼこぼこしている氷の上を100キロの荷物を引きながら歩くため、一日で最大7キロしか進まなかったそうです。凍傷にかかった写真やホッキョクグマの足跡の写真などちょっとぞっとするような写真も交えながらの話だったので、本当に「探検」なんですね。荷物は重い。昼も夜も寒い。何より辛い。そして死ぬかもしれない。そんな危険がある場所へ何故わざわざ出向くのか。その疑問には生きている実感を味わいたいから、と言っていましたが、それよりも何よりも探検に一度はまるともうどんどんはまっていってしまうそうです。もともと他人と全然異なる人生を送りたいという願望が強く、誰もしないようなことがしたいと思っていたそうです。この方の場合はその願望を「探検」という形で叶えています。この講演会を聴きながら私は一体どんな形で自分の生きがいを見つけて夢を叶えるのだろうかと改めて考え直しました。なかなか直接話を聞くことのできない「探検家」という職業の話を聞けて満足です。

更新:2011-11-19
早稲田大学 国際教養学部(SILS) 小林 綾