第145回:友人の個展

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 こんにちは。先日、友人が開いている個展へ行ってきました。知り合いが経営しているバーで作品を飾らせてもらえることになり、1ヶ月間個展を開催しているようです。こじんまりとしたバーの壁に10ほどの大小異なる作品がかかっていてとても素敵でした。いくつかの作品は昔から見て知っているものでしたが、バーの雰囲気と相まって違う印象を受けました。作品を見ているときに一緒に個展を訪れた友人が

「こうやって自分の作品が残っていくっていいね」

と言いました。本当にその通りですよね。深くうなずいてしまいました。絵にしても何にしても自分の思想を目に見える形で表現して伝えることができるのが羨ましいです。

 思えばシェークスピアも、人はいつかこの世から(物資的に)存在を消すことになるけれども、作品にされた人物や思想は残っていく、と言っていたそうです。彼は恋人の美を讃えた詩を書いています。いかに彼女が美しいか、そのことを詩で表現しているのです。さらに彼女が亡くなった後でもその美が生きながらえるように、と詩を書いていたそうです。最近(といっても十数年前からかもしれませんが)日本でも、自伝を書いて自費出版する人が増えています。自分が生きていた証、考えていたことを他の人に知ってもらいたい、目に見える形として残していきたいという願望は、少なくとも16世紀ヨーロッパの劇作家から現代人まで持ちあわせていることになります。国も時代も超えた願望は、とどのつまり普遍的な人間の願望かもしれません。

更新:2011-11-29
早稲田大学 国際教養学部(SILS) 小林 綾