第159回:語感の力

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こんにちは。寒くなったり暑くなったりしていますね。体調に気をつけながら過ごしましょう。

就職活動ではエントリーシートというものを書くのですが、文章中の言葉を少し変えるだけで文章のメッセージ自体の印象が大きく変わります。同じような意味でも語感が変わるものってありますよね。「語感」って面白いなぁと思っている時に、ふと思いました。「幸せ」という言葉って少しカルト的な語感を感じる、と。本屋へ行くと「幸せになる方法」などの本がよく飾ってあります。少し宗教色を帯びているような語感をいつも感じてしまうのですが、この感覚はどこからきているのでしょうか?

コピーライターの糸井重里さんのウェブサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』の中でコラムを持っている山田ズーニー先生の記事を読んでやっとわかりました。
「思うに、『楽しい』とか、『幸せ』とか、『正義』とか、一見、反論の余地がない、だれの目にも良い言葉というのは、それだけに、使い方をまちがえると危険というか、思考停止とか、すり替えとか、逃避とかを生みやすい所にあるんじゃないだろうか。」

この文で合点がいきました。私が宗教的な香りを幸せになるためのハウツー本から感じていた理由は、きっと、自分の思考が停止してしまい、本の中の内容をすべて受け入れてしまう気がして怖かったからだと思います。エントリーシートでも貢献、だとか快適で便利、だとか自分の想いを伝えるために使用してしまうことがあります。誰に対しても効果的な、反論の余地のない言葉は、多様せずに、ここぞと決めたい時に使うのがいいかもしれない、と思いました。

更新:2012-03-17
早稲田大学 国際教養学部(SILS) 小林 綾