第162回:選択と文化
こんにちは。もう3月末ですね。先週末は、大学の卒業式でした。大学付近を歩いていると、袴姿やスーツ姿の人が大勢歩いていました。良い天気に恵まれ、素敵な式だったんだろうなと思います。あ、袴に交じってチマチョゴリを来ている人もいました。各国の民族衣装が見れたのも、なかなか楽しかったです。
さて、今回は『選択の科学』という私が読んでいる本に着いて書きたいと思います。この著者は、コロンビア大学の教授です。ハーバード白熱教室で人気だったマイケル・サンデル教授のように、コロンビア白熱教室として放送されていました。
著者が選択に興味を持つようになったのは、彼女の育った過去にありました。インドからアメリカへ移住して来たため、二つの文化を比較しながら育っていきます。その中で、アメリカは自分で選択することができる国、と感じるようになります。面白かったのが、個人主義と集団主義の文化を持つ国で、人々は自分の裁量権に対する感じ方が違うことです。例えば、アメリカのような個人主義の国では、自分で全てを決めていきたい、と考えています。一方、日本のような集団主義の中では、ある程度決められているほうがやりやすい、良い環境だと感じるそうです。
この文化の違いを知らずに、多国籍企業が自国の文化背景をもとにしたビジネススタイルを持ち込むと、他国では大変なことになります。上司が、部下に「○○はどうしたい?」と聞いても、ある国では「自分で決められる良い環境だ」と思う一方、他国では「なぜ、上司が決めるべきことを僕たちに聞いて来るんだ?」となるわけです。
就職活動をしていて、自分がどのような環境で働きたいのかということは常に考えて行動していますが、なるほど、自分の育った環境がそもそもどのような環境であるのか知らないといけないですね。海外で働きたいなんて思ったら、なおさら自国の価値観を知っておく必要性がありそうです。
早稲田大学 国際教養学部(SILS) 小林 綾