第17回:修辞学

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 こんにちは。先週末にテストが全て終わり、あとはレポートの提出のみとなりました。レポートさえ提出すれば夏休み!とわかってはいても、なかなか腰が上がらない。それでも、締め切りは迫ってくるので、ぼちぼち始めようと思います。

 SILS徒然コラム第17回目で紹介する授業は前回紹介したオープン科目授業で、日本語で行われるレトリックの授業です。私が履修している講義の中で、面白い授業ベスト3に入ります。

 レトリックとは修辞法のことです。簡単に言うと、文章を修飾し美化する技法です。本当にざっくりとした説明ではありますが。例をあげると、体言止め、倒置法、擬態語などです。

 この授業では、主にどのような修辞法が日本語に存在しているのか、を学びます。講師が実際の文学作品で技法が使用されている箇所を抜いて紹介してくださるのですが、作家は実に様々な技法を巧みに使用しているんです。例えば、

 レポートを書いた方がいいのかもしれない、書くべきだ、書かなければいけない、書け!

 上記の文章には、漸層法という段々と語句を強めていく手法が使われています。これは、音楽でいうクレッシェンドに似ています。これによって、登場人物のレポートを書かねば、という気持ちや焦りが強まっていることを簡単に理解できます。「レポートを書かなければいけない、と思った。」という文章よりも、人物の心情の変化が読み取れますし、感情移入しやすくもなるのです。実際、幸田文や他の作家もこの技法を使用しています。

 作家はレトリックを駆使して、自分たちの目的に沿った文章表現をしています。この修辞法は私たちの身近なところにも使用されています。例えば、交通に関するスローガン。

 飛び出すな 車は急に 止まれない

 ここでは主語も接続詞も省略されています(省略もレトリックの一種です)。なぜ、省略されているのでしょう。まず、主語や接続詞がなくても文章が理解できるということが一つ。そして、5-7-5の日本人になじみのあるリズムにしたかったということが一つです。リズムがあった方が、人の頭に記憶されやすいですよね。

 まだまだ、紹介したいことはあるのですが、長くなってしまったので、今回はこの辺で。広告にもさまざまなレトリックが使われているので、次回紹介したいと思います。

早稲田大学 国際教養学部(SILS) 小林 綾