第37回:日本語ボランティア(4)

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 こんにちは。日本海側では、大雪が降っているようで寒さも厳しくなってきましたね。

 さて、SILS徒然コラム第37回目は、秋学期の日本語ボランティア授業についてです。私は現在、留学生の日本語のリーディング力をつける授業でボランティアをしています。その授業では、少人数にわかれて小説を読みます。留学生が朗読し、ボランティア生が漢字の読み方や難しい語句などを説明します。先学期の授業よりも、留学生の日本語サポートをしている授業です。

 小説は石田衣良の作品を読んでいるのですが、石田さんの作品には実は日本独特の文化や言い回しが多く含まれています。以前読んだことがある作品だったのですが、全く気にもとめなかったことを、この授業で留学生から質問されたりしました。たとえば、「あがりかまちって何?」と聞かれたり、質問の中で多かったのがオノマトペで、「雨がしとしとと降る」いう表現で「しとしと」がどのような感じかわからないなど。日本人の読者が流し読みしてしまうようなところです。ところが、いざ説明をしようとすると微妙なニュアンスまで伝えるのはなかなか難しく、留学生とともに考えるといったことがありました。自分の日本語を問い直す有意義な機会となりました。また外国語学習についてあらたな視点を与えてくれました。

 外国語を学ぶというのはなかなか難しいものです。一朝一夕に習得できるものではありません。簡単な単語をど忘れしたり、うまく発音できなかったり。そんな困難にぶつかりながらも、こつこつと継続してその言語に多く触れていれば、少しずつでも上達します。多くの言語が話せれば、それだけ多くの人とコミュニケーションを取れるようになります。スイス人で日本語を学んでいる人と、日本の話をしたときは心底人とコミュニケーションをとるというのは楽しいものだと思いました。日本語ボランティアを通して、外国語習得の大変さと楽しみを改めて感じました。次回は、読書についてです。

早稲田大学 国際教養学部(SILS) 小林 綾