第45回:美術史(2)

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 こんにちは。東京では雪だったり、雨だったりと天気が悪いですね。

 さて、SILS徒然コラム第45回目は、前回に引き続き美術の話をしたいと思います。前回、私が訪れた美術展は主にイギリスの風景画が展示してあったと紹介しました。風景描写はもともと、宗教画や肖像画の背景としてしか存在していませんでした。つまり風景のみを取り上げて絵の対象物とはしなかったそうです。しかし、15世紀からオランダなどの北ヨーロッパから風景画が広まり始め、19世紀イギリスでは風景画が人々に癒しを与えるとして人気だったようです。こののち背景としてのみ認識されていた風景が、印象派の画家たちに多大な影響を及ぼします。例えば、印象派(impressionism)の語源とも言われているクロード・モネの作品『印象—日の出—』(Impression: Sunrise)では、海やボートの様子を描いており人物描写はありません。風景それ自体の美に焦点があてられるようになったのです。美しい風景に心を動かされた人は画家ばかりではありませんでした。詩人、小説家、他にも工芸家などの芸術家が自然をモチーフに作品を発表しています。自然の美しさというのは昔から人の心を魅きつけるものなのですね。

 背景でしかなかった風景が、その自然の美しさに心を奪われた画家たちによって素晴らしい作品となる。そして、今でも絵の中にその昔の美しい風景を見ることができる。それは素晴らしいことです。でも、二次元の自然ばかりでなく本物の自然にも光を当て大切にしなければいけません。バンクーバー五輪を観ていてそう思いました。メダルにまで環境保護のメッセージをこめているのはすごい。自然を守るための大切な一歩ですね。さて、次回は詩の授業について紹介します。

早稲田大学 国際教養学部(SILS) 小林 綾