第54回:山田監督
こんにちは。桜も散ってしまいましたね。神田川沿いは、葉桜になっていました。
さて、SILS徒然コラム第54回目は、映画についてです。『アバター』の3D映画など映画界も最新のテクノロジーと共にどんどん進化していますね。そんな映画界から巨匠を招いて、講義をしてもらう授業が早稲田にあります。
以前、このコラムで説明したことがあるのですが、早稲田にはオープン科目という科目群があります。簡単にいうと学部、学年を問わずに取れる授業です。そのオープン科目の一つとして、映画監督を招く授業があります。ついこの間の授業では、かの山田洋次監督がいらっしゃいました。山田監督といえば、渥美清さん演じるフーテンの寅さんで有名な『男はつらいよ』、そして高倉健さんで有名な『幸せの黄色いハンカチ』などの有名作品を生み出している方です。
そんな監督を招いた授業、と聞けば朝が弱い私も起きることが苦ではありません。朝早くからわくわくして大学へ行きました。授業は、まず課題となっている映画の上映(今回は『スミス氏、都へ行く』)でした。そして山田監督とプロデューサーの山本一郎さんが来て、その映画のテーマは何か、を題材にトークショーといった形式で行われました。どの映画にもテーマやメッセージがあります。そしてそのテーマを読み取って、観客は自分なりに考えなければいけないと山田監督は仰っていました。ただ「あの映画面白かったなぁ」と思っているだけでは、映画を見たことにはならない、と。授業の最後にある学生が、観客が受け取るメッセージが、監督がこめたものとは違う可能性もありますよね。なるべくメッセージを正確に受け取ってもらうためにどんな工夫をしていますか、と質問をしていました。この問いに監督は、私自身「あの映画は、こんなメッセージがこめられていますよね」と言われて初めて、そんな解釈もあるのか、と気づくことがある、と答えていました。映画を見る人の心理状況、環境によって受け取るメッセージは変わります。しかし、命題を与えて考えさせる、というのが監督の仕事なのだと答えていました。
実際に映画監督から映画についての話を聞けるチャンスなど滅多にないので、この授業は貴重な体験でした。今後も多くの名監督を招くようです。中には久石譲さんを招く回もあるそうなので、今から楽しみにしています。