第64回:ゆとりろ

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 こんにちは。外は雨ばかりですね。さて、晴耕雨読と昔から言いますが、私の場合、雨の日は美術館へ行きたくなります。ということで先日、モーリス・ユトリロ展へ行ってきました。単純に電車の中吊りのポスターの絵に惹かれていっただけなので、何の予備知識もなく、ただフランスの画家だろうという見当だけをつけ美術館へ足を運びました。

 損保ジャパン本社42F。そこが東郷青児美術館であり、ユトリロ展が開かれている会場です。新宿駅西口を出て徒歩10分。巨大なビルが林立する中、本社はあります。日曜日のため、オフィス街である本社界隈は人気が少ないです。本社はなかなか大きく綺麗です。エレベーターで42Fに着きチケットを購入。当日券大学生600円。なんとも良心的な価格です。そしていざ、ユトリロの作品へ。 

 たいていの展覧会ではまず、画家の一生や特徴を伝えるパネルが入り口にあります。ユトリロも例に漏れず短い文章で説明されています。それによると彼は中学時代からアル中だったとか。19世紀パリでは13歳にしてアル中になるくらい飲むのか…。そんな彼はその先もアルコール中毒が原因で一生涯不自由な生活を強いられます。しかし、彼が絵を始めたきっかけもまたアルコール中毒でした。

 独学で学んでいた初期の絵から、白を基調とした作風への変化、さらには色を大切にした作風へとユトリロ作品がいかに変わっていったか、というのがよくわかる展示になっていました。白を基調とした時代には、彼独自の白という色を卵の殻、鳩の糞、また白い壁のがれきなどを混ぜて作っていたそうです。真っ白ではないけれど、少し古びた壁のような色になっていました。

 彼の作品のほとんどは建物や街の通りの風景を描いています。作品については次週ふれたいと思います。それでは、また来週!

早稲田大学 国際教養学部 小林 綾