第30回:ポルポト
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私は、killing fieldを、現地の通訳のソパートと一緒に巡った。
ソパートは、時に目に涙をためながら、ポルポトについて話してくれた。
しかし、ソパートはポルポトのことを学校で習ったわけではない。調べたり、家族に聞いたのだと言う。
カンボジアでは、子供に昔の悲劇のことは伝えないほうがいいという考えを持っているそうだ。もし、そのことを教えてしまったら、子供達が真似してしまうかもしれないかららしい。
日本人には、考えられないかもしれないが、カンボジアでは当たり前だという。
通訳のソパートは、家族に「聞きたい」と言って聞いたと、言っていた。
ポルポト時代にソパートは生まれた。その時ソパートの家族は、タイの国境近くに逃げていたそうだ。
その時の話を、ソパートの家族は、泣きながら話してくれる。親戚が殺された話、本当は故郷のカンボジアを離れなくなかった話、色々な話を聞かせてくれたという。
ソパートは、そんな家族から聞いた話を全て話してくれた。
「なぜ、そんな辛い話を私たちにしてくれるのか」
という質問をすると、
「僕が、カンボジア人として、世界中の人に伝えなければいけないから。」
と答えた。私は、本当にすごいと思った。ソパートの周りの友達も話したくないことを、ソパートは辛い思いをしながら話してくれる。
ソパートは、
「僕だから、被害を受けた人から直接話を聞いた話を、そのまま話すことができる。だから、僕が話さなきゃ。」
と言う。
そう思うと、私たちだって、おじいちゃん、おばあちゃんから聞いた、日本での戦争の話を話せる、最後の世代かもしれない。
そんなことを考えてしまった、カンボジアでのひと時だった。
慶應義塾大学 総合政策学部 山本 峰華