第40回:グーグルグラス

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Google Glassのトレイラームービーはいつ見ても刺激的だ。

http://www.google.com/glass/start/how-it-feels/
で動画を見ることができる。
Google Glassは、そのプロジェクトが開始したと宣言された時から、多くの注目を集め、議論を呼んできた。僕も、こうしたデモムービーが発表されるたびに、「あまりにも感動的すぎる」ユーザ体験に心を奪われてきた。

Google Glassのできることは、実はスマートフォンで出来ることとそれほど違っているわけではない。
AR(Argumented Reality:拡張現実)のスキーマで、スマートフォンでやっていたのと同じように、
アプリケーションがあり、ディスプレイがあり、表示される情報があるというだけのことだ。スマートフォンのほうが、むしろ、大きな身体にしっかりと部品を詰め込んでいるのだから、高性能なコンピュータですらある。
しかしながらGoogle Glassが真に価値的なのは、「画面があって、その奥の世界」にすぎなかったコンピュータの世界と実世界をうまく混ぜあわせてしまうことにあると思う。これは、どんなにAR技術が発展しても、しょせんはスマートフォンやカメラのディスプレイではありえなかった体験だ。
つまり、視野角というものは大きく人間の意識に影響するということだ。

もう一つの例をあげれば、Microsoftも「illumiroom」というResearchを行なっている。
http://research.microsoft.com/en-us/projects/illumiroom/
見て頂ければわかるが、ユーザー体験をよりリッチにしようという工夫に富んでいて、Google Glassのやり方とは違えど、目指す価値観は近いように思える。

こうしていよいよ本格的にわれわれの生活に溶け込んでくるコンピュータに対して、われわれがするべきことは、
期待に胸をふくらませて待つことと、いよいよコンピュータから実際の自分の身体を守る準備をすることだ。
視野を支配されてしまって、高速道路を逆走してしまわないようにするためにも。

更新:2013-05-03 慶應義塾大学 環境情報学部 中園 翔