第41回:懐かしのWeb2.0

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Webを支える技術として、大きく言うと二つのメソッドがある。
* GETメソッド – Webから情報を「取得する」。GETすることにより、端末がhtmlコンテンツを受信し、ブラウザなどを通してそれを閲覧することができる。
* POSTメソッド – Webを通じて情報を「送信する」。POSTすることによって相手側の端末にユーザの入力データ(パスワードや、メールアドレスのフォームの入力内容などだ)を送信し、反映させることができる。

もともと、HTTP通信、つまり現在のWebは、「研究者たちの論文交換」をモチベーションにして作られた仕組みだ。だから、本来必要であるような、いわゆるデータに対するCRUD操作 – Get,Post,Delete,Put(取得、編集、追加、削除)も念頭に置かれているわけではない。

そして、GET/POSTリクエストが行われる、コンテンツのほうもまた、静的データ(動的な変更が行われないデータ)が主流であったのだが、数年前に生まれた様な「Web2.0」の潮流などは、「POSTメソッドの再発明」にあたる流れである。つまり、「情報をGETするだけのユーザから、積極的にPOSTできるユーザ層への移行->技術ではなくインターフェースと、インタラクションの変容」の潮流である。

このWeb2.0という言葉は今ではもう一切聞くことはないが、当時は「ブログで誰でも情報発信できるし、簡単にWebサイトを記述できる」とか、「誰もがブログ書いたり情報発信するのは、スゴイ流れを生むだろう」という要旨だったと記憶している。この「インスタントなPOST」に、「つながり」の要素を加えた結果が、現在のSNS群などを象徴している。もはや、GET/POSTはセットの行為であり、人とつながっているのも当たり前の話なのだ。

以上に述べたような二つのメソッドの話は、HTTPという通信規格のもとに成り立っている。無数にあるコンピュータ間の通信規格のうちの、わずか一つの規格でしかないものだ。そして、近年ではHTTP、つまり現行のWebを代替する新しい通信規格が生まれてもいる。次回はその話をする。

更新:2013-06-10 慶應義塾大学 環境情報学部 中園 翔