立命館アジア太平洋大学


立命館大学アジア太平洋大学(APU)
東京ブランチ課長 伊藤 健志氏

インタビュアー 洋々代表:清水 信朗

[清水]
 8月に行われるサマーキャンプは面白そうですね。どういうことを行うのか教えていただけますか?

[伊藤課長]
 サマーキャンプには全国から150人くらい応募があり、そのうち80人くらいを受け入れます。2000年の開学以来ずっと行っているイベントです。高校生5、6人に対してAPUの学生が1人、TA(ティーチング・アシスタント)として付いて、テーマの決め方やリサーチの方法についてアドバイスをします。TAは教えるということはせず、高校生が議論を進めるためのサポートをします。3日間で睡眠時間が3時間だったりするくらいストレスフルな場になりますが、参加した人は皆充実した顔つきで大学ってこういうところなのか、と実感してくれています。最終日にはチームでプレゼンテーションをしてもらうのですが、終わったときは、涙を流す高校生もたくさんいます。

[ 清水 ]
 参加した方の多くはAPUに入学されるのですか?

[ 伊藤課長 ]
 参加者の多くはAPUに来ます。ただ、中には、サマーキャンプに参加して、自分の本当に勉強したいことを見つけて、結果として他の大学を選ぶ、という方もいらっしゃいます。それはそれでとてもいいことだと思っています。

[ 清水 ]
 サマーキャンプに参加するとAPUに合格しやすいといったことはありますか?

[ 伊藤課長 ]
 個人賞を受賞した人はAO入試の活動実績アピール方式で実績の一つとして書くことができます。

[ 清水 ]
 慶應SFCが昨年から始めた未来構想キャンプに似ていますね。それを10年以上も前から実施されているのですね。

[ 伊藤課長 ]
 SFCさんの場合はどうかわかりませんがAPUの場合はそこで優れた高校生をピックアップするという目的でキャンプを開催しているわけではありません。どちらかというとAPUはどのようなところか、そして、大学で勉強するということはどういうことかということをもっと知ってもらいたいということの方が大きいですね。ただでさえ高校と大学は全然違うところなのに、APUは世界中からの学生が約半数という特殊な大学なので、それがどのようなところなのかというところを是非知ってもらいたいです。

[ 清水 ]
 どうして高校3年生限定なのですか?

[ 伊藤課長 ]
 対象を高校3年生限定にすることで、また、夏休みの一番忙しいときにやることで、本気の人が来てくれるからです。親に言われたから来た、というようなやる気のない人には途中で帰ってもらったこともあります。ただ、本気で来た人は充実した時間を過ごして、最終的には参加者の8割がAPUに入学します。

[ 清水 ]
 サマーキャンプに参加するためにはどうすればよいのですか?

[ 伊藤課長 ]
 AO入試と同じで、サマーキャンプへの参加を希望する理由や過去の実績等を書いてもらいます。全国から、そして海外からもいろいろな人が応募してくれます。

[ 清水 ]
 どのようなテーマで議論することが多いですか?

[ 伊藤課長 ]
 テーマは基本的に自分たちで自由に決めてもらいますがやはり国際的なテーマが多いですね。環境のこと、マーケティングのこと、など、その場で自由に決めてもらっています。

[ 清水 ]
 APUとしてはどのような高校生にサマーキャンプに参加してもらいたいと考えていますか?

[ 伊藤課長 ]
 世界に関心があって、世界で活躍したいと思っているような頼もしい人にどんどん参加してもらえればと思います。APUへの入学を志望しているかどうかはあまり関係なく参加してもらいたいですね。

[ 清水 ]
 APUに入学してもらいたいと思う人はどのような人ですか?

[ 伊藤課長 ]
 単純明快に他大学ではなくAPUに入りたいと強く思っている人です。世界で活躍したいと考えていて、そのために、APUで学ぶことがどうしても必要だと考える人に来てもらいたいです。APUのことをよく知った上で、APUに入りたいと思ってくれる人が理想です。だから説明会でも入試制度の事よりもAPUがどのようなところかという説明に時間を割きます。日本の大学だけでなく、世界中の大学と比べた上で、選んでほしいと思います。

[ 清水 ]
 他の大学と比較したとき、APUの特長はどういうところにあると思いますか?

[ 伊藤課長 ]
 「グローバル人材」のコアバリューであるdiversity(多様性)と、mobility(国境を意識しない移動)だと思っています。APUでは学生の45%が留学生なのですが、学部レベルでこれだけ留学生の割合が高いところは世界でも他にないと思います。留学生比率が非常に高いと言われるイギリスのある大学でも33%程度です。APUには80以上の国からの留学生がいます。卒業生も含めると130カ国の出身者がいます。この多様性の中で、相互作用によって学んでいくことが今後の世の中ではますます必要になっていくと思います。元々APUは日本人が主役となって英語や国際感覚を身につけるための大学ではありません。世界中から来る学生が共に学ぶ大学であるという点で日本の他の大学とは本質的に異なります。そのため、英語のみで受験できる入試制度、日本語・英語の両言語で受けられる授業を用意しています。さらに、イスラム文化の人が来ても問題ないように、カフェテリアでは開学時よりハラル料理を提供しています。

[ 清水 ]
 留学生はどういう国からの方が多いですか?

[ 伊藤課長 ]
 数としては、中国、韓国からの留学生が多いですが、他にも様々な国からの留学生がいます。今年もギリシャ、クウェート、ニカラグアといった他の日本の大学にはあまり来ないような国からの留学生が来ました。アンティグア・バーブーダという人口60,000人程度の国からの留学生もいます。日本の文化が好きで日本に来るというよりは、自分に他の人とは違う付加価値をつけようとしてAPUに来る留学生が多いですね。学部はAPUで学んで、卒業後、LSE(London School of Economics)、Oxfordといった超一流の大学の大学院に進学するという学生もいます。世界レベルでキャリアを積む覚悟で来る学生達は、大学院はほぼ必須と考えており、そういった学生はGPA(Grade Point Average:成績評価値)に非常にこだわって、夜中過ぎまで勉強しています。日本人の学生も留学生のそういった姿を身近に見ることで大きな影響を受けていますね。先週はインドネシアのジャカルタで13名の面接を行いましたが、そのうち4名が将来は大臣になりたいとキラキラした目で明確に語りました。また、格差社会に苦悩する自国に産業を創り、母国の発展に貢献したいと全員が異口同音に訴えます。志の高い留学生が半数近くいて、しかも彼らは「ガイジン」扱いされることがないため日本人化することがなく、逆に日本人が留学生に感化されています。だからAPUの留学生は就職活動でも非常に強いですね。日経BP社が日本への留学生の就職状況を調べたデータがあるのですが、APUの留学生は東大や早稲田大といった他の大学と比べて圧倒的に高い就職実績を残しています。

[ 清水 ]
 日本人はどのような方がAPUに入学しますか?

[ 伊藤課長 ]
 日本人も多様で面白い人がたくさん入ってきますね。将来、世界に出て働きたい、世界のために何かしたい、という問題意識の高い人が多いです。入学後は、留学生の影響を受けて日本人もGPAを気にするようになりますね。

[ 清水 ]
 APUのもう一つの特長であるMobilityについても教えていただけますか?

[ 伊藤課長 ]
 APUでは学生に海外体験を薦めます。1年間の交換留学をする学生はたくさんいます。交換留学先は100校以上あって、募集枠も200程度あります。米国、カナダだけでなく、ヨーロッパ、アジア、アフリカの大学に留学する学生も数多くいます。さすがにボツワナ大学(APUの協定大学の一つ)には希望者が出ないだろうと思っていましたが、「アジア人が一人もいないのであれば、私が最初に!」と元気に手を挙げます。「知らない・わからない」ことが先入観や恐れとなり、内にこもることにつながりますが、この大学の日常では授業やカフェテリアの会話から毎日リアルに国境を越えるわけです。世界に対する好奇心は膨らむ一方で、かつコミュニケーションのコツや、越えてはならない宗教上のルールなどを体感し、何と言っても、世界中に頼れる友人がいるということはこの上ない安心感になります。APUは別府にあるのですが、学生は四国に行くのと変わらない感覚で、海外に行きますね。カンボジアで家を建てたり、タイで自立支援をしたり、中国の内陸部の小学校で運動会を開いたり、イスラエルで1年間インターンシップをしたり、学生達から話を聞くことが何より楽しいですね。海外によく行くといっても観光ではほとんど行かないですね。

[ 清水 ]
 APUの入試について教えていただけますか?

[ 伊藤課長 ]
 いろいろな種類の入試を取り揃えていますがAO入試は特に重要視しています。世の中ではAO入試で大学に入ることに対して学力等についての懸念の声をよく聞きますが、APUではそういう心配は一切ありません。実際、全ての入試方式ごとに、入学後の成績や就職の状況などの詳細なデータを取っていますが、各入試方式の間で、差は全く見られません。APUの場合、65%の学生が第一志望として入ってくるので、入試方式の間であまり差がないのかもしれません。大学で最も大事なのは、入学後の最初のセメスターの成績です。この大学のこの学部で、どう学び、どう成長するかをじっくり考えて入学してください。入試も大変かもしれませんが、大学は入学後が最も重要です。

[ 清水 ]
 AO入試ではどのように志願者を評価されるのですか?

[ 伊藤課長 ]
 すべて加点方式になっています。学校の成績がよければプラス、英語ができればプラス、生徒会の活動を頑張っていたらプラス、というようにいろいろなところで加点していきます。もちろん志望理由書は大事です。面接について練習は不要です。入室方法や服装より、自分で考えて自分の言葉で問題意識を語れるかどうかが大事ですね。

[ 清水 ]
 AO入試の三つの方式について教えていただけますか?

[ 伊藤課長 ]
 まず活動実績アピール方式ですが高校までにどういう意識をもって頑張ってきたか、というところを見ます。論文試験がない代わりに評定平均3.5以上という条件をつけています。英語基準方式は、TOEFL iBTで61点以上の英語の実力をもった人のための入試で、書類や面接も全て英語です。総合評価方式の1次では、筆記試験がありますのでしっかり書く練習をしておいてください。内容要約とともに必ず受験生自身の問題意識を問う設問が課されます。正解を問うものでは無く、課題意識を問うものです。

[ 清水 ]
 秋入学の入試について教えていただけますか?

[ 伊藤課長 ]
 東大の秋入学が話題ですが、APUでは開学時より秋入学を実施しており、毎年500人以上の新入生が入学します。日本の受験生にはあまり知られていず、日本人の数は少ないですね。APUには早期卒業制度があって、GPAが高ければ、3年あるいは3年半で卒業することも可能です。逆に4年半とか5年とかかけて大学を卒業するのもいいと思います。大学は4月に入るものと決めつけず、日本人の学生にももっと秋入学を選択肢に入れてもらいたいですね。

[ 清水 ]
 APUのことをもっと知りたいと思ったらどうすればよいですか?

[ 伊藤課長 ]
 本当は大学に来て頂くのが一番いいですね。オープンキャンパスでなくても事前に連絡いただければいつでもご案内します。ハッピーマンデーだと授業がある日が多いので特にお薦めですね。ただ、首都圏に住んでいる方だと別府に行くのが難しい場合もあるでしょうから、そういった方は東京でのイベントに参加していただければと思います。イベントには留学生も参加しますので、少しは雰囲気がわかってもらえると思います。後は東京駅近くにあるAPUの東京オフィスに連絡をいただければいつでも私の方で説明させていただきます。

[ 清水 ]
 本日はお忙しい中、貴重なお話をどうもありがとうございました!

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