洋々卒業生now! ~総合型選抜による大学進学と、その後のストーリー
総合型選抜は、志望動機や大学で学びたいことを真剣勝負で問われる入試。受験生は準備期間を通して、自分の将来やりたいこと、理想の大学生活とはどのようなものか?という問いに、とことん向き合うことになります。
しかし、大学への入学はあくまでも「スタート」。大切なのは、入学してから充実したキャンパスライフを送ることです。
「総合型選抜で入った先輩たちって、本当に理想のキャンパスライフを過ごせているの?」
「志望理由書で書いたことって、本当に学生生活で実現できるの?」
そんな疑問にお答えするべく、総合型選抜で大学に合格した洋々卒業生を取材しました!
今回取材を受けてくださったのは、慶應義塾大学の成瀬茉倫さん。2019年に同大学の総合政策学部(SFC)に入学し、現在は4年生。島唄を唄う「唄者(うたしゃ)」として奄美大島の文化を啓蒙する活動を展開しています。
受験期には、地方と都会の教育機会の格差を痛感したという成瀬さん。慶應義塾大学でどのようなキャンパスライフを送っているのでしょうか?
慶應義塾大学総合政策学部(SFC) 在籍(4年生)
鹿児島県立大島北高等学校(奄美大島) 卒業
――本日はよろしくお願いします! 現在はどのような活動をされているのでしょうか?
私は現在、奄美大島の島唄などを三味線で演奏しながら唄う「唄者」として活動しており、最近では大学をはじめ、国内の各地や海外など、様々なステージで演奏させて頂いています。
また、SFCの授業で出会った友人と「Meet My Amami」という団体を立ち上げ、奄美の文化や伝統・歴史を若い世代にSNSやWEBサイトを通じて伝える活動をしています。
――どのような問題意識からこのような活動をされているのでしょうか?
奄美は歴史的にも強い抑圧を受けてきたことから、マイノリティとしてすら認識されていないと感じています。この問題意識から、大学では小熊英二教授の研究会に入り、「首都圏おいて奄美の島唄のコミュニティーがどのように形成されているか」を研究しています。
自身の「唄者」としての経験を活かしながら、アカデミックな観点からも奄美のことを啓蒙していきたいと考えています。
――成瀬さんの高校時代について教えてください
高校時代は、奄美大島で伸び伸びと過ごしていました。放課後に、クルーズ船の観光客の見送りで島唄を歌ったり、集落の公民館で地元の方たちと話したり。
そんな中、参加した課題研究のシンポジウムで光栄なことにグランプリを頂き、「もしかしたら私はAO入試に向いているかも」と思い、AO入試を考え始めました。
ただ、島では「大学に進学する」という選択肢が都会に比べると当たり前ではなく、モチベーションを維持することの大変さを感じながら受験勉強をしていたことを覚えています。
――成瀬さんが慶應義塾大学のAO入試を受けた経緯や受験期の苦労などについて教えて下さい
先程話したように、大学受験ではAO入試に挑戦したいと考えていたのですが、最初はSFCの存在を知らず、初めて知ったのは出願の前日でした。
結局その年はSFCの受験は諦めるしかなく、一般入試を受けて東京の別の大学に進学しました。でも、どうしても「無知」だったために受験できなかったことが悔しく、仮面浪人しながらSFCを受験することに決めました。
受験期の苦労で今でも記憶にあるのは、はじめて東京の紀伊國屋書店を訪れたときの事です。
奄美大島では、Amazonなどでしか取り寄せられないような参考書が、書店の本棚にびっしり並んでいる様子を見た時は、地方と東京の明確な教育機会の格差を感じて「負けたな」と思いました。
―― 一般入試ではなく、AO入試をあえて選んだ理由は何だったのでしょうか?
AO入試の受験方式に魅力を感じた部分が大きいです。
特に、慶應義塾大学の総合政策学部では、1次選考の書類審査で「志望理由書」に加え、A4用紙2枚で自由に自分を表現する「自由記述」という課題があります。また、2次選考の面接では受験生1人に対して教授3人が30分間の面接してくれる形態になっており、受験生と向き合う姿勢が魅力的だと思いました。
ここまで自分のことを総合的に見てくれて、それでダメだったらもう相性の問題だから仕方ないと思えたので、「AO入試」という選択をしました。
――洋々に入塾したきっかけを教えてください
洋々のGMのご友人に洋々を紹介されたことがきっかけです。
洋々のWebサイトが見やすかったことや、マンツーマンで受講生一人一人に向き合ってくれる点が決め手となり、入塾を決めました。
――洋々のサポートを受けてみて、どうでしたか?
書類と面接のコースを受講しました。
母との約束で、「今通っている大学の学業もおろそかにしない」と決めていたので、他の受験生に比べて限られた時間しかなかったのですが、数少ないサポートの時間を無駄にしないよう、言われたことをすべてメモしていましたね。
また、親元を離れて一人で受験に臨むことは、精神的な大変さもありましたが、洋々ではメンタル面でも親身に相談に乗って頂き、とても支えて頂きました。
――SFC AO入試の試験本番はどのようなものでしたか?
面接の前日に、GMの江口さんから「持っていけるものは全部持っていけ」とアドバイスをされ、三線を持って面接に入りました。
そこで、教授3人の前で島唄を唄って帰ったのは良い思い出です。
面接で演奏をして帰った人は少ないんじゃないかなあ 笑
――AO入試を通じて洋々で得た学びが今の自身の活動にどのようにつながっていますか?
志望理由書を作成する中で、大学に入る前に自分の夢や、やりたいことを言語化していたため、入学後もすぐに学びたいテーマが見つかりました。
そのおかげで、2年生の初めから卒業論文に着手することができました。
また、洋々で学んだ文章構成の方法は大学のレポート課題でも活用できたので、今の自分の学びに大いに役立っているなと感じます。
――今後の展望について教えてください
現在やっている「唄者」としての活動を続けていきたいと思っています。
大好きな奄美と、様々な形でこれからも関わりを持つことができれば嬉しいです。
今年の7月からはニューヨークに半年留学し、アメリカでジャズ等の音楽がどのようにして世界的に親しまれるようになったのか、ということを調査し、その中で奄美の島唄にも応用できる点を探してみたり、また、奄美の文化が海外でどのように継承されているのかを調べたりする予定です。
――では最後に、総合型選抜の受験を考えている受験生たちにメッセージをお願いします
総合型選抜にチャレンジすることで、早い段階から、自分が何をしたくて、それをどう未来に繋げたいかを具体化して自分の言葉で話せるようになります。
そして、自分の考えを外に発信していくと、自然と人が集まってきます。
総合型選抜で身に着く、「自分の考えていることを言葉にして表現する技量」は大学生活だけでなく、今後もずっと将来に活きてくると思うので、是非果敢にチャレンジして欲しいです!
2023年5月 於 洋々