Me Ipsum Evolvens──50代、情熱を論理に整え、一本勝負で早稲田に挑む!
「思いが強い分、文章が感情に寄りやすい自覚があったので、学術的な文章としての骨格を整える作業を講師にサポートしてもらいながら徹底しました。1人では絶対にできなかったと思います。」
伊藤 貴紀さん
Liceo Scientifico Giovanni Pascoli
早稲田大学人間科学部(通信教育課程)健康福祉科学科αコース一般入試 合格

合格おめでとうございます!合格した今の気持ちを教えてください。
現役の高校生とは違って、受験そのものが久々だったので、まずは「この緊張感、懐かしい!」とどきどきしました。合格の文字を見た瞬間は、嬉しいのにどこか現実味がなくて、ふわふわした気持ちのまま…結果を結果として受け止めるまでに、かなり時間がかかったと思います。
そんな私が実感を持てたのは、出願書類を実際に印刷した瞬間でした。「ああ、ここまで積み上げたんだ」と。さらに、結果を確認したあとに慕っている方へ報告できたことで、喜びがもう一段深くなりました。
早稲田大学人間科学部(通信教育課程)健康福祉科学科を志望したきっかけを教えてください。
最初から、早稲田大学志望でした。早稲田出身の尊敬する偉人が多く、慶應出身の同年代の友人にも良い刺激になるだろうという考えもあり、早稲田に合格したいという思いがとにかく強かったです。
学びの軸としては、臨床心理領域への関心がありました。過去の経験からこの分野を学びたいという軸は以前から決まっていて、それに加えて、ひとつの専門だけで完結させるのではなく、様々な分野を組み合わせて学ぶ重要性にも気づいていました。だからこそ、専門を一点突破で深めるというより、幅広く学べるカリキュラムのある環境が自分に合っていると感じました。志望校として固まったのは9月末頃です。
なぜ一般入試で受験しようと考えたのですか?
私が目指す進学形態では、この方式しかなかったので自然に決まりました。他大学を併願することはせず、一本勝負でいきました。
高校時代はどのようなことに取り組んできましたか?
高校はイタリアで過ごし、学業をしっかり頑張っていました。イタリアの学校は日本と違って、口頭試問が頻繁で、「いかに自分が理解しているか」を言葉で示す場面が多かったのが印象に残っています。
放課後は課外活動というより、宿題と自習が中心でした。試験の頻度も高く、週に一度の割合で各教科の口頭試問があるため、学ぶ習慣が鍛えられたと思います。学校で学ぶ範囲だけでなく、教科書以外の内容も自分で勉強していました。
このような習慣に支えられ、卒業試験では学校の中で1番の評価をいただくことができました。
出願書類はいつ頃からどのように準備しましたか?
9月頃から準備を開始しました。私はもともと文章作成に苦手意識があり、「自分の考えや経験を、論理的な文章としてどうまとめるか」が最初の壁でした。
そこで大きかったのが「いらない部分は切る」という整理の視点です。思いが強い分、文章が感情に寄りやすい自覚があったので、学術的な文章としての骨格を整える作業を講師にサポートしてもらいながら徹底しました。1人では絶対にできなかったと思います。
あとは、テーマがなかなか定まらず10月前半まで苦労しました。志望先の教授の本を購入して読み込むことで、方向性が固まってきました。
出願書類の完成までに要した期間は約1か月半でした。
面接に向けてどのような準備をしましたか?
一次試験の合格通知を受け、気が緩みそうになった瞬間もあったのですが、「勝って兜の緒を締めよ」という言葉を胸に、二次に向けて気を引き締め直しました。
面接サポートを2コマ受講し、書類の内容と面接での語りが一貫するように整えつつ、「なぜここで学ぶのか」「その学びをどう活かすのか」を、相手に伝わるかを意識した練習を行いました。ここでも、出願書類作成と同様に、熱意がある分、話が長くなったり要点とずれてしまったりすることが多かったので、そこを改善できるように頑張りました。
本番当日はいかがでしたか?
面接の順番が後ろのほうでした。待合室は広くて寒く、お手洗いのことも気になりながら、いつ面接会場に呼ばれるかわからない中で約2時間を過ごしました。あの時間は、体力だけでなく精神力も試される、自分との戦いでしたね。
面接では、経歴についてしっかり聞かれました。また、事前に準備していたことにも触れられ、「なぜここで学ぶのか」という理由も問われました。途中で私から逆質問をしたら、「それは後日…」と言われてしまい、その瞬間に「落ちたかもしれない」と思いました。手ごたえは自分の感覚で60点くらい。帰り道の1時間は、正直もやもやしていました。
ただ、その後に気持ちを切り替えました。「自分の人生をここまで見つめて、真剣に頑張れた経験そのものに感謝しよう」と思えたんです。友人から「諦めずに願ってみよう」と言われ、最後は信じることにしました。
入学後の抱負を教えてください。
合格したからには、大学の仕組みや学びの環境を使い倒したいです。年齢を重ねるほど、学ぶことの大事さを実感しますし、学びたくても学べない人がいることも、書籍でも身の回りでも、人生の中で感じてきました。だからこそ、しっかり学んで、学んだことを周りへ還元していきたい。成績もしっかり取ります。
全体を振り返って、その他に洋々の良かった点があれば教えてください。
関わる方々がプラスのエネルギーに満ちていて、明るい雰囲気を感じられたのが嬉しかったです。特に挨拶が印象的で、挨拶だけで元気をもらえる感覚がありました。書類についても丁寧に分析してもらえたので、「これで出せる」と納得して仕上げられたのは大きかったです。
今後受験する方へのアドバイスをお願いします。
私はかつてイタリアで高等教育を受けた際、ダンテの『神曲』を学ぶ機会がありました。『地獄篇』第26歌に描かれるウリッセ(オディッセウス)の、未知に挑み続ける探究心は、いまも私の学びの姿勢の原点です。受験期は、成果ばかりが気になり、視野が狭くなりやすい時間でもあります。そんなときこそ「自分は何を知りたいのか」「なぜ学びたいのか」を忘れずにいてください。探究心は、焦りを越えて自分を前へ進めてくれる力になります。
私は、常に探究心を持ち、自らを高め続けることを大切にしています。**Me Ipsum Evolvens(自らを進化させる私)**という姿勢を、今後の学業においても貫いていきたいと考えています。受験はゴールではなく、学びを始めるための入口です。どうか自分の“知りたい”を最後まで手放さずに進んでください。
また、私は46年ぶりに剣道を再開しました。継続的な稽古を通じて、特技を持ち、それを磨き続けることが精神的な支えになると実感しています。受験は思うように進まない日もありますし、調子の波も必ずあります。そんなとき、自分を立て直す“拠りどころ”があるかどうかで、踏ん張り方は大きく変わります。特技や習慣は、結果が出ない時期にも自分を保ち、もう一度前を向く力をくれます。受験勉強だけに全てを預けるのではなく、自分を支える軸を一つ持ってみてください。それが最後に、あなたを強くしてくれるはずです。
ありがとうございました。伊藤さんの今後のご活躍を、洋々一同心よりお祈り申し上げます。


