共立女子大学
共立女子短期大学
入試事務室担当室長 井上 一己 氏
インタビュアー 洋々:清水信朗
洋々清水:
共立女子大学、共立女子短期大学で導入しているAOタイプ入試方式についてお聞かせください。
共立女子大学井上氏:
大学では家政学部建築・デザイン学科で「実技選抜入試」、文芸学部で「EQIQ入試」を実施しています。いずれも他大学との併願が可能です。
「実技選抜入試」の募集人員はA日程(12月)20名、B日程(3月)5名です。
選抜方法は実技試験と面接です。実技試験の内容は「建築コース」と「デザインコース」で異なった試験問題が出題され、この試験問題に対し両コースともB3サイズの用紙に鉛筆による表現をし、表現したものに200~300字程度の文章を付け加えてもらいます。これは視覚表現の制作意図を、さらに文章で補足・説明するものですが、併せて日本語の基本的作文能力も評価対象としています。
「EQIQ入試」の募集人員はA日程(12月)20名、B日程(3月)20名です。
(※洋々註:2012年度入試においてはEQIQ入試のB日程の募集はありません。また選考方法の一部が変更されていますので詳細については大学の募集要項をご確認ください。)
選抜方式はA日程が指定図書の理解、グループでの意見交換、作文、B日程が文章の理解、英文の理解、グループでの意見交換、作文となっています。
具体的にはA日程は、前もって指定された図書を読んでおきます。指定図書について試験当日与えられたテーマについて考えます。次に指定図書のテーマについてグループに分かれ受験生同士が自由に意見交換をします。そして最後に指定図書のテーマについて考えたこと、グループでの意見交換を踏まえて作文を書きます。
B日程では人間・社会について身近な問題をテーマとした資料を読み、内容を理解したかどうか短い質問に答えます(英文の理解)。その後、文章の理解で取り上げたテーマについてグループに分かれて受験生同士が自由に意見交換をします。そして最後に、文章の理解、英文の理解、グループでの意見交換を踏まえて作文を書きます。
洋々清水:
AOタイプ入試では、どういった観点で受験生を見ていますか。
共立女子大学井上氏:
実技選抜入試は単なる技術の習熟度よりも想像力、発想力、思考力、適性などを探る入試であり、描写力などの技術のみを問うものではなく、それに至る考え方やアイディアを見ています。
EQIQ入試はEQとIQの総合的な能力を見ます。B日程の文章の理解は資料を正しく理解しているかどうかを見ます。グループでの意見交換は、発言内容、意見交換中の態度など、総合的な見地から見ます。必ずしも発言が多い人の評価が高いというわけではありません。他人の意見をしっかり聞いて自分の意見を述べているかどうか、単に話の流れに乗って自分の意見を述べるだけでなく、ときには今までの方向を修正したり、異なる観点を示して議論を展開することも評価の対象になります。
作文は、意見交換をふまえて、自分の考えを正しい日本語を用い、どのようにまとめて書いているかを見ます。
洋々清水:
最初に文芸学部でAOタイプ入試を導入した目的はなんですか。
どういった生徒を募集したいとお考えですか。
共立女子大学井上氏:
「EQIQ入試」は学力だけを合否の基準にする一般入試では、文芸学部に入ることを必ずしも積極的に望んでいなかった、いわゆる不本意入学者も少なくなかったという点が反省され、入試方法の多様化を図り、多様な観点から広く志願者を募集することによって、強い入学意思を持つと同時に、文芸学部に相応しい幅広い関心と自由な発想力を備えた入学者を増やすことを目的に導入された入試です。
「EQIQ入試」ではIQ(知的能力)だけでなく、自ら考え、責任感のある自立個性豊かな人、立場をわきまえ、他の人を理解し、協力し、喜びや悲しみを分かち合うことができる人、すなわちEQ(情動能力)を兼ね備ええた人間味あふれる総合人間力豊かな人を求めています。
洋々清水:
AOタイプ入試で入学した学生と学力試験で入学した学生の学力面での違い、生活面での違いはありますか。
共立女子大学井上氏:
文芸学部の場合、AO入試で入学した学生は、志望動機が高く、熱心に勉強に取り組み授業においても積極的に発言し、クラスの雰囲気を明るく盛り上げるようなタイプの学生が増えており、学部が活性化されています。
洋々清水:
AOタイプ入試の募集定員を増やす、または減らす予定はありますか。
共立女子大学井上氏:
現時点で、AOタイプ入試を増やす、減らす具体的方針はでていません。選抜方法後との募集人員については若干の増減はあるかもしれませんが、大きな変更はないと思われます。
今後もそれぞれの学部、全学的な委員会で、さらに適切な募集方法を検討していくと思われます。
洋々清水:
公募制推薦入試についてですが、書類、評定平均値、小論文、面接の結果はどういった比重で合否に影響を及ぼしますか。
共立女子大学井上氏:
共立女子大学で公募制推薦を実施している学部・学科は家政学部被服学科と国際学部です。出願資格として当該学部・学科を第一希望とし、高等学校長の推薦があること、高校時の成績が基準を満たしていることとなっています。選考方法はいずれも調査書、小論文、面接で行います。家政学部被服学科、国際学部とも調査書、小論文、面接の三つの観点から総合評価をします。被服学科の場合、調査書では高校在学中の評定平均値はもとより、秀でた科目がある場合はそれを評価します。
洋々清水:
AOタイプ入試、推薦入試で合格した方へ、入学までの期間、どういったサポートを行われていますか。
共立女子大学井上氏:
AOタイプ入試、推薦入試での入学予定者に対し、入学に向けての事前学習を実施しています。昨年度は家政学部では学科別に課題が示され、課題についてのレポートや作品を提出してもらいました。被服学科では被服に関する課題が出され、それについて自分の意見をまとめ、食物栄養学科では高校の化学、生物の教科書の中から指定した項目について学習、復習をし、建築・デザイン学科では自分の気に入っている建物や町並みのスケッチや静物のデッサンを行い、児童学科では児童に関する新聞記事を読み、切り抜きをして自分の考えをまとめてもらいました。
文芸学部では書物を指定し、大学で勉強したいこと、自分の興味あるところなどを考慮する新聞記事を読むなどして考えたこと、調べたこと、感じたことを文章にまとめてもらいました。
国際学部では英字新聞を読んだり、英語によるニュースを見るなどして入学後も必要な英語力のレベルアップをしてもらいました。
洋々清水:
共立女子大学が他の大学と異なるアピール点はどこですか。
共立女子大学井上氏:
神田一ツ橋キャンパスへの集中化により大学・短大の授業が同一キャンパスで実施されることにより、専門科目が早い段階で勉強できたり、学部・学科ごとに行われていた教養教育を全学共通化し、全学部・学科の学生が、幅広い科目から自らの興味・関心に合わせて自由に選択履修できるようになりました。また、教員とのコミュニケーションや先輩、後輩、他学部・学科との交流が深まり、サークル活動なども活性化されています。
教育情報ネットワークシステムの運用により、緊急連絡や休講などの授業情報が携帯電話でも確認できるようになりました。
共立は、都心型キャンパスで立地条件の良いことがあげられます。学生が利用する地下鉄、JRの駅は徒歩10分以内にあり、通学に便利です。周辺には美術館や工芸館などの文化施設や古本屋街、出版社、商社などのビジネス街もあり、フィールドワークなどの授業にも役立つ環境があります。またビジネス街が近くにあり、就職活動にも有利です。
洋々清水:
受験生が共立をよく知るためにどのような取り組みをされていますか。
共立女子大学井上氏:
オープンキャンパスを年10回実施しています。
学部・学科教員による模擬授業や個別相談、在学生とのフリートーク、在学生によるキャンパス案内、教員による入試相談・推薦入試解説、予備校講師による入試問題解説、入試対策相談・小論文解説などを行い、共立に関する情報提供を行っています。
大学見学の希望があれば、可能な限り対応しています。高校単位での見学や個人的な見学も可能です。内容は学部・学科説明、模擬授業、授業見学、キャンパス見学、学食体験などです。
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