第6回:近況報告~破壊的創造~

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毎日価値観が変わっていく。

変な話であるが、あの3月11日以降僕の人生は三度目の転機と対面している(ちなみに一度目は留学、二度目は受験(洋々)だ)。震災から数日は自宅で家族とできるだけの時間を共にした。しかし一週間が経過したところで突然友人からチャリティーの話を持ちかけられた。それがきっかけで外出が増え、その機会に僕はまったく偶然にたくさんの人と出会う。

「こんな時に外出しているのは変人か、こんな時でも自己を崩さないもっと変人か」

そう思いながらも目の前に現れる様々な人たちを拒むことなく受け入れた。現在その時出会った人たちと団体を結成し、イベントを月に何本も開催するような活発な状態が続いている。音楽・スポーツ・チャリティー・交流会等のイベントは対象が広く、集客も100-500人規模で行う様な勢いの良さだ。
この一連の過程を自身で経験して感じたのは、何事も何人も、拒むことなく受け入れる懐の深さと勇気、そしてそれをやり切る根性といった原始的なものの大切さだ。それは、色々な事を計算して導こうとしていた自分にとっては衝撃的な変化であった。自らが目前の物事を選択し排除していくということは、結局自分の想像した域でしか事は動かない。ましてやそのちっぽけな想像力で想定したものの半分も実行できないのだから、いかにそれがナンセンスなのかと分かる。

今日も大きなインカレと提携や合同イベントの話を提案して上手く話も進んだ。明日はジムでたまたま出会った建築家の方と食事に行く。明後日は団体に新たに加わる人と初対面のミーティングからのイベント。その次の日はカフェでたまたま出会った人が創っている保育園の見学とその仕事の打ち合わせ・・・ この様に毎日がエキサイティングで、色鮮やかで、新鮮だ。

今までと全く異なる環境とそこにいる自らの姿に戸惑いがないと言えばそれは嘘だ。しかし僕はそういったいわば「破壊的創造」を信じる。一度出来上がってしまった概念・状況・システム・作品を、破壊という行為により新たなものをその上に建ち上げる様な、破壊に伴う創造は歴史を見れば分かるように物事の流れなのではないか。それは美しい女性を傷付ける様に胸の張り裂けるおもいを乗り越えねばならない、非常に難しいことである。しかし、これから先の60年間では何回これを乗り越えねばならないのだろうか。そんな事をふとしたときに考えながら、充実と倦怠という矛盾と葛藤に悩まされながら大学の始まらない日々をおくっている。

早稲田大学 創造理工学部建築学科 佐藤鴻