第19回:回帰か行進か

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ガジェット系やテクノロジー系、デザイン系にサイエンス系と、創造性に特化した部門においてある傾向がみられる。

● googleの発表した新SNS、google+についてのオフィシャルブログ記事
「現実世界でのコミュニケーションの細やかさと豊かさをソフトウェアで再現したい。あなた自身のこと、その人間関係、そして興味のあることを取り込むことによって、Google の使い勝手をよりよいものにしたい。”

● 「画期的なヒト型3D入力デバイスで、より直感的なキャラ操作が可能に」
”人間のような形状の手足、胴体、首の各部分は手で自由に動かすことができ、関節内部にある関節センサーにより、特定の瞬間の人形のポーズ (姿勢) がキャプチャーされ、USB を経由してコンピュータに入力されます。」

僕はこの現象を「江戸への回帰」と考え捉えている。進みすぎた社会システムや技術、倫理などはもはや行き着くところを知らない。ここまでやってきた今、進むことに全力を注ぐことはまた違った意味を持ってくるのではないか。それよりも、例えば技術部門においては技術を駆使して非技術を創造することのように、現存するものをいかに組み合わせて人間に、動物に、植物に、地球に、宇宙に、寄り添うことができるかを追求してひとつひとつ実行していくべきだ。それが例えば上記2つの記事で示されるような姿である。それは突き詰めれば、現存するほぼ全てのシステムなどの「枠組み」を破壊することとなるだろう。3.11を経験した現在の日本はあちこちでそのような破壊からの創造をしなければならない現状が明白に確認され、必ずや向き合わなければならないところまで追い詰められている。そしてその活動を推し進めるのは親世代ではない。僕の世代だ。これからは学びだけの人生では絶対に力不足だ。知識と知恵を蓄えながらそれをラディカルに使って物事を変えるために全力を注がなければならない。何をこれから自らがしなければならないか、社会を構成するひとりひとりの個人が強い意志を持っていかなければ未来はないかもしれない。

更新:2011-07-23
早稲田大学 創造理工学部建築学科 佐藤鴻