第37回:完成された若者たち

未分類

近況といえばとにかく「焦り」しかない。
ヴェネチア国際映画祭で染谷将太と二階堂ふみが新人賞を貰った。共に満19歳。MTVミュージックアワードをTyler, the creatorが颯爽と勝ち取る。満20歳。周知のように石川遼は世界で大活躍中。満20歳。同年代が今世界中の様々なシーンで活躍している。彼らの成功の背景には、若いエネルギーによって創造される新しい手法や取り組みが、既製概念を根底からぶっ壊している点にある。

そういった時代の最先端をサポートするのが純粋技術の発達と検索機能の向上だ。
人類の純粋な技術力は毎日あがっていて、その恩恵から革新的な機能を備えた新道具を使うことが許される。近年は特に市場の生産と消費が早いために、新しいツールが次々と生み出されどんどん改良されていく(MP3からのiPodの流れなどが好例)。その中で出来る素晴らしい道具を最先端では取り入れている。
また人類が今日まで積み上げてきた知恵や知識といった知的遺産を、今は必要に応じた適切なものを検索することのできる時代だ。googleのような情報検索機能は日々向上し、amazonやfacebookのように誰かが何かに対するレビューやコメントを公共の場でし合う場所も生まれた。これは現代がある種の「結論」に辿り着き易くなった時代といえる要因だ。

こうして生まれる現代のある種「完成された若者」は、youtubeやtwitterのような個人が世界でも目立つ事ができるような環境と、グローバル化や市場至上の大きな世の中の雰囲気の中で時代を台頭してくる。そういった一連の出来事を世界で宙吊りにされた状態で眺めたとき、僕は非常に焦りを感じる。少しの出来事が大きく世界を変える時代において、ひと昔前の学びをしていたのではあまりにも虚しい。僕はさっさと働き始め、何がどうなっているのか宙吊りでは無い状態で確認したい。その上で学びが必要ならば同時進行でやっていけば良い。大学の体質であるゆっくりと満面ない学習スタイルは、学者肌にはあっていてもそうでない人にはあまりにも鈍足過ぎるのではないか、と問いたい。

更新:2012-02-02
早稲田大学 創造理工学部建築学科 佐藤鴻