第55回:「下流志向」の賛成反対
こんな記事を読んだ(http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20130108/1046778/?P=2)。『下流指向』著者の内田樹氏と若者マーケッターの原田曜平氏の対談で、面白い内容だったのでひとつづつ賛成と反対とできるところの意見を書いてみた。
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賛成:『行き過ぎた消費者マインドは、結局何もしないのが一番クレバー』
何もしないのがクレバーと思っている世代だという部分に賛成できる。ただこれは自らが自身を「行き過ぎ」と思っている様な未成熟な状態で、本当の過成熟ではないと思う。経験と実感の伴わない、知った気になっている状態。だから俯瞰した位置でモノを見て、最終的な決断(一番しなければならないこと)をせずにいる。しなくても知識があればいつかはできると思っている。そんな「何もしない」状態ではないだろうか。
反対:『物欲が下がっている』
物欲が無くなったわけではない。ただ、購買は確かに減っている。主な理由には 1. 選択肢が多すぎる 2. 価値基準が多すぎる がある。判断材料が多い上に選択肢も多いとなると何を買っていいか分からない。vwゴルフ、レクサス、プリウス、ホンダのバイク、軽自動車、スクーター…。選択肢と価値の種類の多さによって「自家用車」の中で自分のニーズが何なのかを、悩ませられたり曲げられたりする。買わないのではなく、買えないという方が近いのではないか。
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大学に入ってから、ラーメン好きに連れられて美味しいところに良く行くようになった。そこで彼らにたまに言われるのが「おまえは飛び過ぎてる」という言葉。いわく色々食べた結果これやあれの美味しさが分かるのに、僕はそのステップを彼らのリコメンドによって飛んでしまっている。彼らのランキング上位だけ食べている。これは費用対効果を最大限に考慮して、情報力によって「一番」を選んだ結果、それが一番なのか自分の価値基準で判断できない状態だ。経験値が低いのに情報があるから、本当に良いと思えていずとも良いものを知っている。ここで面白いのは、信頼する情報源に決定されれば判断できずとも選択・購買するというところ。僕の世代は、まだまだ実地経験の足りない、情報に頼りすぎた、未成熟でこれから変化の可能性を持った世代なんじゃないかなぁと漠然と感じた記事だった。
早稲田大学 創造理工学部建築学科 佐藤鴻