第75回:韓国で感じたこと(その2)
今回のフォーラム(正式名称はthe 22nd International Youth Forum)では、日本でいう青少年オリンピックセンターのような合宿・研修用の宿泊施設に滞在しました。ディスカッションや伝統文化体験などのプログラムは施設内で行われ、視察や観光をする際には貸し切りバスで市内へと繰り出すという、個人的には「適度な軟禁状態」だったと思います。
こうした合宿型のプログラムの良さとして、他の参加青年たちと非常に多くの時間をともにすることができる、という点が挙げられます。一週間という限られた時間ではあるものの、ただセミナールームで議論を交わすだけでなく、値食を共にすることになるため、必然的に接する時間も長くなり、良くも悪くもお互いをよく知ることができます。今回の部屋は4人部屋で、私のルームメイトは韓国人、ブルネイ人、そしてギリシャ人。彼ら抜きには、今回の韓国滞在は語れません。
中でも大きな影響を受けたのが、韓国人のミンスーです。初日に部屋割りが発表され、部屋で初対面を果たし、「よろしく~大学生?韓国初めて?」など、当たり障りのない自己紹介。このまま穏やかな感じでいくのかと思いきや、お酒の話で盛り上がり、気がつくと「Soju!! Soju!!」と肩を組んで連呼していました。Sojuとは、韓国の焼酎のこと。まだ飲んでもいないのに、話題にするだけで盛り上がれるという、なんとも便利なキーワードです。
「Soju」という一言がきっかけで、一気に距離が近くなったミンスーとは、一週間で本当にいろいろなことを話しました。韓国のこと、日本のこと、大学やアルバイト、社会問題的なちょっと真面目なことも。ときにはあんな話や、こんな話まで。腹を割って打ち明けたことも沢山ありますし、お互いの相談にも乗りました。実の兄弟以上に、兄弟のような存在です。
日本に帰国して数日後、彼とチャットをしていたら、こんなことを言われました。
『俺はいままで日本人や日本の文化を好きだと感じたことはなかったんだけど、お前と知り合って仲良くなって、それが偏見みたいなものだったってことに気づいたよ。』
知らず知らずのうちに持っている、先入観。それをなくすきっかけとなる、個人レベルでのつながり。
今回のフォーラムでの経験をぎゅっと凝縮した、嬉しい言葉でした。
慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅