第76回:韓国で感じたこと(その3)

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政府が主催する国際交流プログラムって、結局のところ、何を目的としてやっているのか。
膨大なお金と労力を割いてまでやる、その”本当の狙い”は何なのか。
今回のフォーラム期間中、こっそり考えていました。

今回のフォーラムでは韓国代表がダントツで多く、全参加者124人中、46人。3分の1以上が、韓国人青年でした。その他の32カ国は、それぞれ1〜7人程度。日本代表は6人ということで、まあまあ多い感じ。(ちなみに、シンガポールが7人、フィリピンが6人、タイが5人、ベトナムが4人…etc。ヨーロッパや北米、南米からは大体各国1〜2人。この違いは、ただ単に距離が近くて来やすい国の参加者が多いだけなのか、それとも”政治的な”あるいは”外交上の”理由があるのか…気になるところ。)

韓国代表が多数を占めるのは当然といえば当然で、そもそも韓国政府が「韓国青年のために」つくったプログラムであり、いかに多くの韓国の若者に国際経験を積ませるか、というのも大きな目的のはず。韓国以外の国は参加者の年齢層も結構幅があったのですが、韓国だけは僕の知る限りほぼ全員が「学生」でした。どうやら学生には万国共通のノリや雰囲気があるらしく、すぐに打ち解けることができ、一緒に過ごした時間はとても楽しかったです。

ただその弊害(?)として、韓国人青年の語学力にはかなりバラツキがあったように思います。ペラペラな人もいる一方で、あまり英語が得意でない人も少なからずいて、なかなか意思疎通がしづらかったことも…。こうした国際交流プログラムにおける「語学力」の問題というのは非常に難しく、参加者の枠を広くすると、必然的に基準を緩めることになります。かといって、「語学力のない人は参加できない」と決めきってしまうと、今度は留学経験者やすでに国際経験豊富な人たちばかりが参加することになり、プログラムの趣旨が変わってきてしまう。参加者の「数」と「質」、本当に難しい問題です。

かつて日本政府が主催する「世界青年の船」に参加したとき、同じことを逆の立場で感じていましたが、今回自分が外国人側(小数派)として参加してみて、韓国代表の青年たちに当時の自分たち(日本青年)の姿を重ねながら、改めていろいろ考えさせられました。「じゃあどうすればいいの?」と言われても、あまり良い打ち手が浮かびません。プログラム自体の知名度を上げて、定員に対する応募者数を増やして、海外各国と同じくらいの倍率(競争率)まで上げる、とか?(でもそうすると、自分のような大学生では参加できないだろうし…。なんて考え出すと、ますます難しい。)

(続く)

更新:2011-09-20
慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅