第102回:実家暮らしも大変だ

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4月。一緒に大学を卒業した友人たちが一斉に社会人デビューを果たし、入社式や研修など、ドキドキとワクワクに満ちた新生活をスタートさせている。その姿を横目に、自分は「自宅警備員」として、フレッシュさとは程遠い新生活をひっそりとスタートさせた。

というのも、以前こちらの連載(http://you2.jp/ao/fune_084.htm )でも書いたが自分の内定先には「入社時期を選べる」というナゾの制度があり、結局自分は希望通り7月入社になった。外資系企業とは言え、さすがに「入社時期を選べる」というのは、ウチ以外に聞いたことがない。しかも特別な理由がある人限定ではなく、内定者全員に平等に選択権があるというのだから、なんとも思いきった制度だ。せっかくいただいた猶予期間なので、やりたいことを思う存分やって過ごそうと思う。貯金残高と相談しながら…(涙)

入社するまでの3ヶ月間、別で家を借りるのも金の無駄だろうと言うことで、湘南台の部屋は引き払って、とりあえず千葉の実家に戻ってきた。

「実家のほうが楽だよ。お金かからないし、食事も出てくるし。」と言う人がまわりには結構いるけど、4年間一人暮らしをしていた自分からすれば、なかなか良いことばかりでもない。そりゃあ、食費が浮くのはたしかにありがたいし、冷蔵庫にビールが常備されているのも個人的にはかなり嬉しい。一人暮らし先はユニットバスだったから、実家の風呂はやけに広く感じる。あたりまえのように新聞があるし、特にいまの自分は時間もたっぷりあるので、一面だけでなく端から端まで読めてしまう。そういう意味では、本当にゼイタクな生活。

しかし、だ。外出しているといちいち母親から「今日は夕飯いるの?」「帰ってくるの?」なんてメールが届くのが、うっとうしくて仕方ない。出掛ける前にちゃんと言っておけばいい、と言われればたしかにそうなんだけど、なにせ4年間一人暮らしだったので、真夜中にふらっと友達と集まってラーメン食べに行ったり、夜通しウイイレしたりする生活に、心も体も慣れきってしまっている。リビングの机の上に本やPCを置いておくだけで「邪魔!」と怒鳴られるのも、一人暮らしでは考えられないこと。こうして、実家(=自分の家)のはずなのにいろんな勝手やルールがわからず(頭では分かっていても行動が伴わず)、その度に雷が落ち、しまいには、なぜか他人の家みたいに思えてくる。この3ヶ月間だけは、学生でも社会人でもないストレスフリーな生活を夢見ていたのに…。実家暮らしなのがむしろ大変という、なかなか想定外な展開。

早くも「ここじゃどうも息も詰まりそうになった」ので、来週からはまたしばらく、旅に出ようと思います。

更新:2012-04-07
慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅