第104回:東南アジアの車窓から(その2)

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現地に数日間滞在していると、その土地に住む人たちの暮らしぶりが気になるようになる。今回は日程的にかなりの弾丸旅行だったが、まちをぶらぶらと歩き回る時間は結構あったし、現地の人と接する機会もあったので、その中でいろいろなことを考えた。

一般的に、東南アジアは「物価が安い」というイメージがある。これは僕に限らず、多くの日本人が持っているはず。
実際、物価はかなり安い。コーラなどのソフトドリンクは50円、一食食べるなら100円〜200円、浴びるようにビールを飲んで肉や飯をたらふく食べても、一人800円。(ピッチャーのビールが2ドルだったときは、正直びっくりした)。泊まる場所も、今回はネット環境やら立地やらを踏まえてかなり贅沢なところを取ったんだけど、それでも一人一泊1000円。ちょっとしたハプニングでバンコクのホテルを一泊分だけ取り忘れていて、ノリで3000円くらいのを取ってみたら、めちゃくちゃ豪華な部屋&朝食ブッフェ付きだった。(しかも立地も最高。日本でいえば、渋谷駅徒歩5分。)
タクシーも、初乗り100円以下。300円もあれば、好きなだけ乗れてしまう。ただ、奇妙なことに向こうのタクシードライバーたちは、あまり遠くに行きたがらなかった。少し離れた目的地までお願いすると、「too far!」とか「traffic jam!」とか言って、そもそも乗せてくれない。ひどいときはタクシー3台つかまえて、全部断られたときもあった。日本じゃとても考えられない光景だけど、向こうじゃそれが普通ということなのだろう。そんな違いを肌で感じられたのも、個人的にはすごく面白かった。

あらゆるものの値段が、とにかく安い。調べてみると、それもそのはずで、平均収入が日本に比べればかなり低いのだ。たとえば、タイの世帯当たり平均月収は、2万3500バーツ程度。日本円に換算すると、約6万1200円だ。(出典:http://www.newsclip.be/news/2011915_032068.html )
カンボジアになると、その金額はさらに低くなり、平均年収がおよそ830ドル。「一年間」働いて得られる金額が、約6万6000円だという。(出典:なぜか「あいのり2」のサイトに載っていた…。たしかに、あいのりって結構まめ知識が多いんだよね。http://www.1924.jp/ainori2/story/007/index.html )

その水準を踏まえると、カンボジアのアンコールワットで一日チャーターしたトゥクトゥクの運転手は、相当な高級取りだったことに気づく。寺から次の寺へと僕たちを運び、僕たちが観光しているあいだは1時間ほどのんびり昼寝。20分働いて1時間昼寝する、そんなゆったりしたワークスタイルで、日給13ドル貰える。月に20日働けば260ドル。単純計算で、年収は平均の4倍近い、3000ドルを超えるわけだ。町中があんなにトゥクトゥクだらけだったのも、うなずける。

更新:2012-04-23
慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅