第304回:卒業(1)

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 3月28日朝8時、iPhoneのアラームが鳴って目が覚めた。極浅い眠りからの目覚めだ。前日の試合(前回記事参照)での反省と、この日やらなきゃいけないたくさんのことを考えてしまって、一晩中眠りに集中することができなかった。目は冴えているものの、身体は正直に寝不足と疲労を訴えている。まさにダル重たい感じ。カーテンを開くと、予報通りの雨空。「今日の雨は面倒くさいなぁ」とボヤきながらベッドから起き上がる。長い一日が始まった。
 シャワーを浴びて、歯を磨いて、スーツに着替える。滅多に使わないワックスを、慣れない手つきで髪に塗りたくり、いちおうのヘアスタイルを作る。日頃からお世話になっている方に卒業祝いとして頂いた新品のネクタイを締め、トボトボと家を出る。一晩中やることを考えていただけあって、ここらへんの流れはスムーズである。電車に乗って、いざ日吉キャンパスへ。そう、今日は慶應義塾大学大学院卒業式である。

 今さらの報告になるが、私、藤井岳は3月10日の成績発表をもって慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科の卒業が決まった。院生生活の最後の数ヶ月、特に修士論文が佳境に入った頃から「もしかすると卒業できないかもしれない」と結構多くの人に心配をかけてしまった。結果からすると留年詐欺で、「結局卒業できてんじゃん!」と叱られてしまいそうだが、本当にギリギリの卒業だった(成績を決めるのは僕じゃないので、あくまで手応えと予想だが)。持って生まれた要領の良さだけで、柔道と院生活を両立するにも限界があったようにも思う。面倒を見てくれた先生方、何かと助けてくれた同級生のみんなには本当に感謝したい。

 同級生たちとの待ち合わせ時間9時15分ギリギリに日吉駅改札を出てすぐの集合場所に駆け込む。いつもジャージにサンダル、のような格好で登校していた僕がスーツを着ている姿に、みんな苦笑。馬子にも衣装なんてからかわれながら、式場の日吉記念館に向かって並木道を登り始める。

(つづく・・・)

更新:2016-04-06
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳