第317回:天理合宿②

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「天理合宿、キツかった?」と尋ねられたら、僕は「天理合宿、暑かった」と答える。客観的に練習量だけを振り返れば、午前中1時間半ほどのランニングトレーニングと、午後2~3時間程度の練習・・・特にオーバーワークでもなく、もちろん楽でもなく、ちょうどよく自分で自分を追い込めるものだったと思う。が、とにかく暑くて暑くて、何をするにも無駄に体力を奪われているような感覚で苦しかったのが今回の合宿である。

天理の道場にはエアコンがない。畳同様“伝統”なのか、他の理由からなのかは分からない。(そういえば慶應の道場にもエアコンはない)。

天理道場にはエアコンがない代わりに、壁にミストファン、霧状の水を噴霧する扇風機が10個くらい付いている。しかし噴霧された水はもはや冷水ではない。奈良盆地の気温35℃の中、厳つい男100人以上が集う冷房無しの霧の室内、道場内は40℃近かったんじゃないだろうか。

こうなると代謝の良い僕なんか、準備運動のストレッチどころか、練習前、道着に着替えるだけで汗が滴ってくる。練習後半には、道着の飽和水分量を超える汗をかいて、袖やら裾やらからポタポタと汗が滴ってくる。相手や畳にぶつかればベシャとかグチャと音がする。乱取りで引手を握られようものなら、脱水前の洗濯物を絞るのと同じ状態に。ジャブジャブである。毎日大量の汗をかいている我々だから、さほど汚い汗ではないにしろ、汗は汗だ。普段そんなに汗をかいたことのない人たちからすれば、想像するだけで思わず顔をしかめたくなる光景だろうと思う。

今回の合宿では、一回の練習で、だいたい2ℓの水を飲むにも関わらず、体重は2~3㎏落ちた。要するに2~3時間の間に4~5ℓの汗をかくわけだ。考えただけでゲンナリしてしまうね。