第323回:早慶戦

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今月19日、早慶対抗柔道戦、通称早慶戦が講道館で開催された。早慶戦は20人の勝ち抜き戦である。慶應も、たぶん早稲田もそれぞれ30人前後の部員の中から20人を起用して戦う。言葉の通り総力戦である。

僕が学生だった頃は、勝ち抜き戦と点取り戦が一年ごと交互に取り入れられていた。会場も、早稲田と慶應の道場を二年交代で使っていた。具体的にいうと、僕が1年の時は早稲田の道場で点取り戦、2年時は早稲田で勝ち抜き戦、3年時は慶應で点取り戦、4年時は慶應で勝ち抜き、といった具合だ。それが、僕らが卒業した次の年から全て勝ち抜き戦@講道館に変わった。大学道場で活躍するより講道館の方が、そして、点取り戦で1点稼いでくるより勝ち抜き戦で何人か倒した方が、カッコ良いに決まっている。僕からしたらまったく羨ましい話である。

また試合のルールも僕らの頃とは違っているようだ。正しい言い方か自信がないけれど、「講道館規定」を使っている。いわゆる昔のルールだ。足取りや組手を両手で切る行為が認められ、指導を重ねれば技によるポイントに並ぶことが出来る。更に、補足ルールとして技有以上のポイントで勝敗が決する。有効以下は意味を持たないのだ。みんな「なんで今時そんなルールでやるの?」と思うだろう。僕もそう思う。慶應、早稲田ともに学生日本一や国際大会で活躍する選手を目指すのであれば、現国際ルールで戦うべきだと僕は考える。けど、きっと理屈じゃないんだろう。早慶戦という伝統の大会は、色々と理屈じゃないのだ。

結果は一人残しで早稲田の勝ち。慶應の大将が、早稲田の副将と引き分けて終了、慶應の3年連続敗北となった。しかし20人もいる勝ち抜き戦で、最後一人がどうかの闘いになったわけだから、きっとものすごく面白い試合であったに違いない。と言うのは、僕はその日ちょうど先輩の結婚式があって応援に行けなかったのだ。ツイッターの速報で展開を追っていた。だからあまり詳しい内容や偉そうなことは言えないけど、思ったことを少しだけ書いておく。

今年の負けは、昨年・一昨年のそれとは少し違う。過去2年間は慶應の方がいわゆる有力選手が揃っていたにもかかわらず負けた。それに比し今年は、負けたとは言え慶應は善戦した。今回のような気力や作戦などの総合力の、その一部でも過去2年間の早慶戦で発揮して勝ち切っておけなかったのは残念だが、慶應にはまだまだ可能性が十分に残っていると感じた。そんな期待を持つことができた。来年にむけ、チームがどう作られていくのか、楽しみである。